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第四部 自己破産・免責手続          03−3589−4905

自己破産、免責手続

 1 自己破産・免責手続とは?

 (1) 総論

自己破産・免責手続とは,裁判所に破産の申立をして破産宣告を受け,破産手続に従って自分の残余財産を債権者に分配し,それでも弁済できなかった債務については裁判所に免責の申立をし,これによって破産宣告前の債務をすべて棒引きにしてもらうという,いわば究極的な債務整理手続です。

戦前に破産法が制定されたころは,自己破産や免責の制度はそもそもなく,破産すると債務を完済するか,あるいは時効などで債務の全額が消滅するまでの間は,ほとんど犯罪者同様の扱いを受けるといわれていました。

その頃の影響もあってか,最近でも尚自己破産には心情的な抵抗があるという方は少なくありませんが,現在の自己破産の手続は,懲罰ではなくむしろ債務者の経済的更生を支援する制度として運用されており,破産者の免責もかなり広く認められていますので,現在の破産制度は多重債務者に対する社会的セーフティ・ネットとして機能しており,また自己破産しても特に失うものがない人にとっては,自己破産・免責手続は最も経済的メリットの大きい債務整理手続といえます。

 平成17年1月から新破産法が施行されています

 (2) 自己破産・免責手続の流れ

自己破産・免責手続としては,まず裁判所(住所地を管轄する地方裁判所またはその支部)に破産の申立をして,債務者について債務の支払が不能の状態に陥っていると認められる場合には,その債務者に対し裁判所が「破産宣告」を行います(破産宣告を受けた人のことを「破産者」といいます)。

なお,破産の申立は,債務者本人のほか債権者が申し立てることもでき,債務者本人が破産の申立をする事件を特に「自己破産」事件といいます。

破産宣告を受けると,同時に裁判所から「破産管財人」(通常は弁護士)が選任され,自己破産者の財産のうち概ね20万円以上の価値があるものは破産管財人により換価され,自己破産者の債権者に対し,その債権額に応じて平等に分配されます(もっとも,自己破産者の財産がほとんどなく,破産手続の費用をも賄うに足りない場合には,破産管財人が選任されず,破産宣告と同時に破産手続が廃止されることがあり,このような事件を「同時廃止事件」といいます)。

なお,破産宣告を受けても当然に債務がなくなるわけではなく,支払不能な債務の支払義務を免除してもらうには,別途「免責」の申立をする必要があります。

裁判所に免責の申立をすると,免責審尋期日が定められ,破産者はその期日に裁判所へ出頭し裁判官の審問を受け,そこで免責を認めるのが相当であるかどうかの審査が行われます。

自己破産者の免責は,破産者が「免責不許可事由」(詳細は3「免責不許可事由って何?」を参照してください。)に該当しない限り認めるということになっていますが,免責不許可事由に該当する行為があっても,それがよほど悪質な行為でなければ,ほとんどの場合裁判官の裁量により自己破産、免責が許可されているのが実情です。

ただし,免責審尋の期日には,弁護士を代理人としている場合でも必ず本人が出頭する必要があり,正当な理由なく免責審尋期日に出頭しないと,免責の申立が却下されてしまうことがありますので十分注意してください。

自己破産者が免責決定を受けると,自己破産者の債務は原則として「自然債務」(任意に支払うのは構わないが,法律上支払うことを強制されない債務)になりますが,例外として租税,雇人の給料,自己破産者の悪意による不法行為の債務,破産者が債権者名簿に記載しなかった債務,及び罰金等は自己破産の免責の対象となりません。

なお,国民年金,国民健康保険などの社会保険料については,明文の規定はありませんが,実務上は租税と同様の取り扱いとなっています。

自己破産者は,会社の役員になることができず,また弁護士その他多くの公的資格の欠格事由となっていることから,資格所持者は破産宣告を受けるとそれらの資格を失ってしまいますが,自己破産者が債務の完済または免責決定の確定により「復権」した場合には,このような制限はなくなり,再び公的資格の登録を受けることができるようになります。

 (3) 申立に必要な費用

まず,破産の申立書には1,000円,免責の申立書には500円の収入印紙を貼付する必要があり,また債権者に対する通知の費用や官報掲載費用の概算額を予納する必要がある(概算額は裁判所によっても異なる)ことから,それらを含め申立までに実費が、通常約3万円前後かかります。

また,破産管財人を選任する必要がある事件(換価できる財産のある事件,自己破産者が事業者であった事件,申立人に免責不許可事由またはその疑いがある事件,債権者による給料の差押等の危険が迫っている事件などがありますが,実際の運用は裁判所によって異なります)では,申立人が破産管財人に支払う報酬のうち一定額を予納しなければなりません。

その金額は,かつては50万円とされていましたが,自己破産の申立人には50万円もの金額を予納できない者が多く,自己手続の障害になっていたことから,東京地裁など一部の裁判所では,破産管財人の事務を大幅に簡素化し,その代わりに安い金額の予納金(通常20万円)で弁護士に破産管財人の仕事を引き受けてもらう,いわゆる「少額管財」制度が設けられています(なお,制度の名称は裁判所によって異なり,横浜地裁では小規模管財,さいたま地裁では中間管財という名称が付けられています)。

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