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千川健一・坂本隆志
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第四部 自己破産・免責手続      03−3589−4905

4 自己破産Q&A

 (回答末尾→Q&Aindex へ)


Qー1 自己破産とはどういうものですか?

A−1 自己破産・免責手続とは,裁判所に破産の申立をして破産宣告を受け,破産手続に従って自分の残余財産を債権者に分配し,それでも弁済できなかった債務については裁判所に免責の申立をし,これによって破産宣告前の債務をすべて棒引きにしてもらうという,いわば究極的な債務整理手続です。(総論から引用)


(破産の申立)


Q−2 破産は個人だけではなく,会社などの法人でもできますか? また,会社でも破産できる場合,会社が自己破産をするには社内でどのような手続が必要になりますか?

A−2 破産は,個人だけでなく会社等の法人でもすることができます。
なお,会社が破産する場合には,原則として取締役会の決議により破産の申立を決定することになりますが,取締役(代表取締役である必要はない)が個人の資格で破産の申立をすることも認められています。


Q−3 破産は債権者が申し立てることもできますか?

A−3 債権者が申し立てることもできます。
ただし,債権者が破産を申し立てる場合には申立費用(申立書に貼る印紙代)が1万円と比較的高額である上に,一般的に破産手続で債権者が得られる配当は極めて少なく,債務者を破産させても債権者にメリットが生じることはほとんどないため,現在では債権者による破産の申立はあまり行われていません。


(破産管財人)


Q−4 不動産などの財産がある場合,必ず破産管財人は選任されるのですか?

A−4 原則として選任されますが,不動産に担保が設定されており,被担保債権の額が明らかに不動産の時価を上回っている場合には,その不動産は財産とみなされず,他の財産がない限り同時廃止事件とされます(東京地方裁判所の場合は,被担保債権の額が時価の1.5倍以上という基準で運用されています)。


Q−5 ほかに,破産管財人が選任されるのはどのような場合がありますか

A−5 裁判所によって取り扱いは異なりますが,概ね以下のような場合に破産管財人が選任されます。

1) 差押解除型 給料等が天引きされ,または(仮)差押を受けている場合
2) 差押回避型 給料等の(仮)差押を受ける可能性がある場合
3) 偏頗弁済型 偏頗弁済による否認権行使の可能性がある場合
4) 不当利得型 過払金など不当利得返還請求権行使の可能性がある場合
5) 免責調査型 免責不許可事由の存在が明らかであって,裁量免責の相当性について管財人の調査を必要とする場合
6) 生保等清算型 生命保険の解約返戻金等の換価容易な財産が20万円以上ある場合
7) 資産等調査型 不動産を所有していること,個人事業者であること,負債の総額が5,000万円以上であること,多数の債権者が存在していることなどから,管財人による調査が必要と判断される場合


(破産宣告の効果)


Q−6 破産宣告を受けると,何か困るようなことはありますか?

A−6 破産宣告を受けると,会社の役員(取締役等)になることはできず,また弁護士,公認会計士,宅地建物取引主任者,生命保険募集人等の資格の欠格事由になってしまうので,それらの資格を要する仕事はできなくなります。
また,破産管財人が選任された場合には,破産手続の期間中,裁判所の許可なしに居住地を離れることができなくなり,破産者宛の郵便物は破産管財人に配達され,管財人のチェックを受けることになります。


Q−7 破産宣告を受けると,選挙権がなくなるって聞いたんですけど,本当ですか?

A−7 破産宣告を受けても,選挙権や被選挙権がなくなったり,行使できなくなったりすることは一切ありません。なお,産宣告を受けると,本籍地の破産者名簿に氏名等が記載されますが,戸籍謄本,住民票,印鑑証明書などにそれらの事実が記載されることはありません。


Q−8 破産宣告を受けると,会社の役員になれないとか,弁護士等の資格を要する仕事に就けないといった制限があるということですが,そのような制限は一生続くのですか?

A−8 破産宣告を受けたことによる資格制限は,免責決定が確定すればなくなりますので,実際には破産・免責手続中の約半年前後の間資格制限が続くだけであり,一生資格制限が付いて回るわけではありません。


(免責)


Q−9 免責とは,どのような制度ですか?

A−9 免責とは,破産者が残余財産を処分してもなお支払うことができない残余の債務について,その支払義務を免除してもらう手続です。
借金の支払いができなくなったために裁判所から破産宣告を受けても,それだけで借金が棒引きになるわけではなく,さらに裁判所から免責の決定をもらって,はじめて借金の支払義務がなくなることになります。


Q−10 免責決定で「借金の支払義務がなくなる」というのは,具体的にはどういうことですか? こちらから支払うこともできなくなるのですか?

A−10 免責決定を受けた債務は,法律上「自然債務」と呼ばれる性質のものになると解されています。つまり,債権者の側から訴訟を起こしたり,給料の差押等をしたりして強制的に取立をすることはできませんが,債務者の側から任意に支払うことは差し支えなく,また債務者の側から任意に支払われた分は有効な債務の弁済となる(支払った分を不当利得として返還請求することはできない)ということになります。


Q−11 免責決定を受ければ,どのような債務も支払わなくてよくなりますか? 税金なども支払わないでよいのですか?

A−11 免責決定を受けても,以下のような債務の支払義務はなくなりません(破産法366条の12)。

1 租税
2 破産者が悪意をもって加えた不法行為に基づく損害賠償債務
3 雇人の給料(一般の先取特権を有する部分に限る)
4 雇人の預り金及び身元保証金
5 破産者が悪意で債権者名簿に記載しなかった請求権(ただし,債権者が破産宣告のあったことを知っていた場合を除く)
6 罰金,科料,刑事訴訟費用,追徴金及び過料

※ なお,平成16年に成立した(新)破産法(平成17年より施行予定)では,支払義務の消滅しない債権について以下のように規定されています(253条1項)。

1 租税等の請求権

2 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権

3 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)

4 次に掲げる義務に係る請求権

 イ 民法第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
 ロ 民法第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
 ハ 民法第七百六十六条(同法第七百四十九条,第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
 ニ 民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務
 ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって,契約に基づくもの

5 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権

6 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)

7 罰金等の請求権


Q−12 私は,1ヶ月ほど前に換金屋に騙され,パソコンの換金行為に手を出してしまいました(被害額は約150万円,その他の債務額は約1,000万円です)。換金行為は免責不許可事由にあたるということですが,そうすると私のような場合もはや自己破産はできないのでしょうか?

A−12 法律上の免責不許可事由がある場合でも,裁判官の裁量により免責決定を出してもらえる場合がありますので,必ずしも自己破産・免責の手続が利用できないというわけではありません。
特に換金行為については,最近多重債務に苦しんでいる人が換金屋の被害に遭うことが多く,裁判所もそのことは十分理解してくれていますので,破産実務上それほど重大な問題としては取り扱われていません。
免責不許可事由が換金行為のみであり,しかもそれが破産の直接の原因になったわけではないのであれば,裁判所によっては破産管財人も付けられず同時廃止事件で処理されることもあります。
よって,あなたのような場合であれば,自己破産されても免責を得られる見込みはなお十分にあると考えられます。


(手続に必要な期間等)


Q−13 自己破産の手続には,どのくらいの期間がかかりますか?

A−13 自己破産の手続は,破産管財人を付けないで終了する同時廃止事件であれば,申立から免責決定があるまで半年くらい,破産管財人の付く事件であれば,否認権行使の訴訟があるなど特別に事件処理が長引くような事情がない限り,半年から1年くらいというのが一応の目安になります。
ただし,東京地方裁判所などでは,申立後数日以内に申立代理人弁護士が裁判官と面接を行い,その結果に基づいて即日破産宣告を行うという制度(東京地裁では「即日面接」,横浜地方裁判所では「早期面接」といいます)が運用されており,このような制度のある裁判所では申立後4ヶ月くらいで免責決定が出されることもあります。
もっとも,裁判所側の事情だけではなく,債権者に一部弁済を行うために時間がかかったなど,申立人側の事情によって免責決定までの期間が長期化することもあります


Q−14 免責審尋は,どのような雰囲気で行われるのですか?

A−14 実際の免責審尋手続では,破産者にかなりひどい浪費などの事実が認められる場合でなければ,過去の債務負担行為を問いつめるような雰囲気は全くなく,どちらかというと機械的に処理されます。また、免責審尋の流れは、各裁判所によって微妙に異なります。実例は次章をご覧ください。
































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