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個人再生徹底活用マニュアル

千川健一・坂本隆志
共著
個人再生徹底活用
マニュアル
(2005年法改正に
完全対応)

自己破産個人版民事再生のすべてがわかる本

千川健一の本
自己破産
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電話でも注文できます 03-5978-8121

第五部 個人再生              03−3589−4905

4 住宅資金特別条項(住宅ローン条項)

(1) 総論

住宅資金特別条項とは,再生債務者が住宅ローンの抵当権が付いた自宅を所有しており,その自宅をどうしても手放したくないという場合に,その住宅ローンの債権について再生計画案に特別の定めを設けるものです。

この住宅資金特別条項を定めれば,再生計画認可後も住宅ローンの支払いを続けることによって,民事再生手続に伴う自宅の競売を阻止することができ,結果として自宅を手放すことなく経済的再建を果たすことができるわけです。

なお,住宅資金特別条項を定めない場合には,破産手続や民事再生手続では,「債権者平等の原則」という決まりがあり,住宅ローンの債権者などであっても特別扱いはできないため,他の債権と同様の割合で債権額をカットして3年から5年の分割払いにせざるを得なくなる一方,破産や民事再生の手続が行われていても,抵当権の実行による競売手続は原則としてそれに関係なく進めることができますので,住宅資金特別条項を利用するのでなければ,破産や民事再生の手続によって自宅を競売にかけられることはほぼ避けられないことになります。

(2) 住宅資金特別条項の民事再生手続における位置づけ

住宅資金貸付債権に関する特則は,小規模個人再生と給与所得者等再生の両手続と同時に新設されたものですが,条文上住宅資金貸付債権に関する特則の適用範囲は特に限定されていないことから,小規模個人再生や給与所得者等再生はもとより,一般の民事再生(簡易再生,同意再生を含む)でも住宅資金特別条項を定めることは可能と解されています。

しかし,既に述べたとおり,一般の民事再生手続は個人による利用に適せず,また成功率もかなり低いものですので,実際に住宅資金特別条項を利用するのは,小規模個人再生または給与所得者等再生の利用者がほとんど,ということになります。

(3) 住宅資金特別条項の適用要件

再生計画案に住宅資金特別条項を定めるには,以下の要件をすべて満たすことが必要です。

1) 再生債務者(人)に関する要件

● 再生債務者が自然人(個人)であること(→法人は利用不可)

● 再生債務者が住宅(建物)を所有していること
(共有持分でもよいが,建物の敷地を所有しているだけではだめ)

2) 住宅に関する要件

● 建物の床面積の2分の1以上が,自己の居住の用に供されるものであること
→店舗併用住宅や自宅兼賃貸住宅などの場合でも,自宅以外の用途に供される部分の面積が床面積の2分の1に満たない場合には利用可能
(なお,居住用家屋を2以上所有している場合には,その主たる建物に限る)
● 住宅(建物)に,住宅ローンの債権者または保証会社の抵当権が設定されていること
● 住宅(建物)に,住宅ローン以外の債権のための抵当権等が設定されていないこと
● 住宅以外の不動産にも住宅ローンの抵当権が設定されている場合には,その抵当権に後れる住宅ローン以外の債権のための抵当権等が設定されていないこと

3) 住宅ローンに関する要件

● 住宅(敷地を含む)の建設,購入または改良に必要な資金の借入であること
(借り換えでもよい)
● 分割払いの定めがあること

4) その他

● 住宅ローンが保証会社により代位弁済された場合には,代位弁済後6ヶ月を経過するまでの間に再生手続開始の申立をすること

(4) 住宅資金特別条項の内容

住宅資金特別条項で定めることができる条項は,以下の4種類があります。

1) 期限の利益回復型

住宅ローンの支払いを延滞して期限の利益を喪失している場合,期限の利益喪失がなければ認可後に支払期限の到来することとなる元本及び利息については従来の約定どおりに支払い,認可以前に生じた元本・利息及び認可時までの遅延損害金については,一般債務と同じ弁済期間(最長5年)内に支払うというものです。
なお,住宅ローンの延滞がない場合は,単に従来どおり支払いを続けることになります。

2) リスケジュール型

1)による再生計画遂行の見込みがない場合(つまり1)では住宅ローンを完済できる見込みがない場合)には,支払期限を従来の約定から最高10年間まで延長する定めを置くことができます。
ただし,この場合には最終弁済期における再生債務者の年齢が70歳以下であることが必要です。
この場合でも,元本・利息及び認可決定前の遅延損害金については,?と同様全額支払わなければなりませんが,認可決定前の元本・利息及び遅延損害金の返済期間についての制限はなくなります。

3) 元本猶予期間併用型

2)による再生計画遂行の見込みもない場合には,一般債権の弁済期間内で定める期間(元本猶予期間)については,住宅ローンの元本の一部及び利息のみを支払うという条項を定めることもできます。

なお,1)ないし3)の住宅資金特別条項を定める場合には,弁済期と弁済期との間隔や各期の返済額(元本猶予期間のそれを除く)は,もともとの契約に定めていた基準に概ね沿うものであることが要求されます。

4) 同意型

住宅ローンの債権者の同意があれば,上記以外の内容の特別条項(最終弁済期の年齢が70歳以上となる条項,一定期間は利息だけを支払うという条項,遅延損害金を免除してもらう条項など)を定めることも可能とされています。

なお,住宅ローン債権者が住宅金融公庫の場合,住宅ローンの返済が困難な場合に返済期限を最長15年間延長してもらえる救済措置が設けられていますので,これらの制度を利用して同意型の住宅資金特別条項を定めることもあります。

(5) その他留意事項

1) 住宅資金特別条項による期限の利益回復の効果は,住宅ローンの連帯債務者や保証人等にも及びますので,住宅ローンの主債務者が住宅ローン条項付き個人再生手続を利用した場合でも,住宅ローンの連帯債務者や保証人に迷惑(巻き添えの債務整理など)をかけることはありません。

2) 住宅資金特別条項を定めた住宅ローンの債権者については,再生計画案の決議に関する議決権は認められず,再生計画の取消の申立もできません。

3) 住宅資金特別条項を定めた再生計画案については,「再生計画が遂行可能であると認めることができないとき」には再生計画不認可の決定をするものとされており,通常の再生手続や個人再生手続の場合(再生計画遂行の見込みがない場合のみ不認可となる)より裁判所の認可要件が加重されています。

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