個人再生申立事例集   03−3589−4905
千葉県在住Nさんご夫妻(相談時夫39歳・妻35歳)のケース
(相談〜方針決定〜申立)
Nさんはご自宅が東北地方の○○県にあり、県内の建設会社にお勤めでしたが、平成12年に勤務先が倒産してしまったので、親戚の紹介で千葉県にある福祉関係の会社に再就職し、ご家族を残して単身同県に転居しました。
会社が倒産する2年ほど前から、賞与がなくなり、毎月のお給料も減らされてしまう中で、生活費不足を補うために、ご夫婦でカード会社や消費者金融から借入するようになりましたが、その後失業中の期間に借入額を大きく増やしてしまったことが、家計が破綻する直接の原因となりました。
●相談時(平成14年)のNさん夫妻の年収・債務・資産状況
Nさん
(手取り年収)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 380万円
(一般債務)
信販 4社 350万円
消費者金融 3社 320万円
信用金庫 1社 30万円 ・・・・・・一般債務合計 700万円
(住宅ローン)
住宅金融公庫 1,200万円
年金融資 170万円・・住宅ローン残額 1,370万円
(資産)
保険解約返戻金(見込額)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40万円
不動産はオーバーローン(持ち分2/3)
奥様
(手取り年収)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・130万円
(一般債務)
信販 4社 250万円
消費者金融 3社 40万円
信用金庫 1社 30万円・・・・・・・・一般債務合計 320万円
(住宅ローン)
住宅金融公庫(連帯債務者)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1200万円
(資産)
H4年式軽自動車・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0円
不動産はオーバーローン(持ち分1/3)
Nさんは○○県のご自宅に居住していないため、住宅ローン条項を定めるための要件を満たしませんでした。しかし、あくまでもご自宅を守り、○○県を生活の本拠としたい旨のご意志であったため、ご自宅のある○○県の裁判所へ、その旨の上申書※1を添えて、ご夫婦で同時に個人再生の申立をすることにしました。
※ 1(上申書の内容)
@○○県の住宅はそもそも、Nさん家族が居住するために購入したものである
A勤め先の倒産後、自宅からの通勤圏内に仕事がないため、やむを得ず単身横浜の会社に就職した。いわば出稼ぎ状態である
B返済期間中(3年間)は現在の会社で確実に収入を得て再生を図るつもりだが、○○県に同程度の収入を見込める仕事が見つかれば転職する。また、就職先が見つからない場合には、現在の仕事(福祉関係)の経験を生かし、地元の友人達に出資を仰いで同様の事業を始めるつもりである
また、再生手続として、ご夫婦ともにお勤めだったので、お二人とも給与所得者再生を選択しました。可処分所得を計算したところ、小さなお子様お二人を扶養しているNさんは100万円を下回り、飲食店勤務の奥様は若干のマイナス※2でした。
※2
可処分所得マイナスの債務者の再生については、裁判所(あるいは再生委員)へ具体的に家計の状況を説明して、再生計画に定める返済原資の確実性を疎明できれば概ね認められる傾向にあります。とはいえ、共稼ぎのご夫婦の場合には、どちらかがマイナスであっても、その疎明は比較的容易ですが、単身者の場合は「家賃負担がない」「光熱費・食費負担がない」等特殊な場合を除き、難しくなります。
また、奥様が再生計画に住宅ローン条項を定めることについて、所有不動産に奥様の再生債務以外の債務(Nさんの年金ローン)に対して設定されている抵当権があるため、厳密に言えば法に定められた要件を満たしません(この問題については、近日出版予定の書籍の中で実例をあげて詳しく解説しています)。当時この点についてはまだ問題とされていなかったので、申立はすんなり受理されましたが、その後問題となり、現在では、概ねどの裁判所でも平成15年1月に東京高等裁判所において発令された「夫婦同時で申立をすれば住宅ローン条項を定められないことはない」と解釈できる決定に則して、柔軟な運用がなされているようです。
住宅ローン債権者(公庫・年金)に対しては、再生計画に基づく返済期間中のNさん世帯の予想年間家計収支表を送付して、
@ 特にリスケジュールはしないこと
A (この当時まだ、再生手続中の返済継続は認められていなかったので)手続開始決定から認可決定の確定まで、毎月約定返済額を事務所に積み立ててもらい、認可決定の確定後、その分を一括で返済する旨の合意型条項を定めること
を軸に事前協議をし、住宅ローン条項の方針を決めました。
上記の居住地の問題や、再生原資の不安要素について、上申書や疎明資料を十分に整えて申立をしたところ、その甲斐あって債務者審問は省略され、無事開始決定を得ることができました。
(再生計画案)
Nさんは親戚のお宅に間借りさせてもらっており、家賃負担がないため、手取り月収約32万円のうちご自分の生活費5万円を除きすべて奥様に仕送りしています。奥様の収入を合算して、住宅ローンを約定返済しても、無理なく再生できる計画案を作成することができました。
Nさん
計画返済総額
確定債務額630万円の20%=126万円
返済期間3年(3ヶ月に一度の返済)
毎月に換算した返済額 35,000円
住宅ローン条項:上記内容の合意型
奥様
計画返済総額
確定債務額290万円の34.4%=100万円
返済期間3年(3ヶ月に一度の返済)
毎月に換算した返済額 28,000円
住宅ローン条項:上記内容の合意型
(認可決定)
Nさん夫妻の再生計画案は、無事認可されました。現在Nさんは、将来の起業に向けて奮闘中の日々を送っていらっしゃいます。
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