多重債務・自己破産・借金相談・債務整理・個人再生。お気軽にご相談ください

多重債務・債務整理のことならいちご綜合法律事務所東京弁護士会所属
107-0052 東京都港区赤坂4-1-29赤菱ビル4F Tel:03-3589-4905 email: s-ken@ichigo-law.com
TOPページサイトマップ リンク
相談受付・地図
掲示板コーナー
債務整理の総合案内
相続の総合案内
離婚の総合案内
その他の法律問題
Q&A indx
費用について
事務局便り
掲示板ダイジェスト
いちごブログ

個人再生徹底活用マニュアル

千川健一・坂本隆志
共著
個人再生徹底活用
マニュアル
(2005年法改正に
完全対応)

自己破産個人版民事再生のすべてがわかる本

千川健一の本
自己破産
個人版民事再生
のすべてがわかる本

電話でも注文できます 03-5978-8121

第一部 離婚そのものに関する問題     03−3589−4905

第2章 離婚原因

1 離婚原因とは

離婚原因とは,判決による離婚が認められるための法律上の要件です。
わが国では,当事者同士の協議による離婚が認められており,当事者同士の合意により離婚するのであれば,「離婚原因」の有無は全く関係ありません。

しかし,離婚について当事者同士の話し合いがつかない場合に,裁判所の判決によって離婚を認めてもらう,つまり離婚に合意しない相手方に対し法律の力で「離婚する」という結論を押しつけるためには,「離婚する」という結論を押しつけることになってもやむを得ない事情=「離婚原因」が裁判所によって認められなければなりません。

離婚原因は,民法770条1項の規定により,以下のものが定められています。

1 配偶者に不貞な行為があったとき。
2 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4 配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき。
5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

2 不貞行為

民法770条1項1号に定める離婚原因である「配偶者に不貞な行為があったとき」は,通常「不貞行為」と呼ばれており,これは夫婦間の貞操義務に忠実でないすべての行動を指すと解されています。配偶者以外の人と恋愛関係に陥り,継続的肉体交渉を持ったというのが最も一般的な類型ですが,別にこれに限定されるわけではなく,単に一夜限りの肉体関係を持ったとか,買売春や強姦をしたなどの場合も不貞行為に該当します。また,肉体関係の相手方は同性であっても構いません。

※自ら不貞行為を働いた「有責配偶者」からの離婚請求は認められるか

自ら不貞行為を働いた一方配偶者が,自らの不貞行為を理由に離婚請求をすることができないのは勿論のことですが,当該配偶者が他の離婚原因を理由に離婚請求をすることも,原則としては信義則に反し認められないと解されています(最判昭和27年2月19日民集6−2−110「踏んだり蹴ったり判決」など)。
ただし,最近は裁判例の傾向が若干変わり,有責配偶者からの離婚請求であっても,夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及んでいる場合には,特段の事情がない限り離婚を認めるとの判断が示されるに至りました(最判昭和62年9月2日民集41−6−1423)。
この離婚のために必要な別居期間は,過去の裁判例を見る限り,概ね5年間以上を要すると考えられているようですが,5年間別居すれば必ず離婚が認められるわけではなく,夫婦間に未成熟の子が存在する,離婚により相手方配偶者が精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態に置かれるなどといった事情がある場合には,離婚請求が認められないこともあります。
また,有責配偶者からの離婚請求が認められるかについては,有責配偶者側の誠実性も重要視されており,生活費をきちんと支払い,財産分与や慰謝料などの離婚給付もしっかり支払える目途がついているような場合には離婚請求が認められやすいですが,生活費の送金を止めて「兵糧攻め」にするというような悪質な行為を続けている場合,たとえ別居期間が相当長期間にわたっていても離婚請求が認められない可能性があります。
神戸地裁平成15年5月8日判決は,女性問題を起こした夫が離婚を請求した事案で,その夫は別居後何ら妻子の生活を顧みることがなく,さらに妻に無断で協議離婚届を出し,これに対する離婚無効の訴えが確定するや,ほどなく離婚調停を経て訴訟の提起に至ったこと,妻に対する慰謝の方途を講ずる提案はないばかりか,むしろ婚姻破綻の責任の大半は妻にあると主張していること,これに対し妻は,夫として親としての情や責任,義務を全く果たしていない人の離婚請求を受け入れることは出来ないと主張していることといった事情を考慮し,別居期間が17年を超え夫婦間の子供も全員成人して独立していたにもかかわらず,離婚請求を認めませんでした。
なお,夫婦が別居して婚姻関係が既に実質上破綻していることが明らかな場合,例えその後に新たな愛人が出来ても,家庭生活の崩壊はその愛人の存在と因果関係がないので,「不貞行為」には該当しないと解されており,その愛人を作った側の配偶者が婚姻関係の実質的破綻(婚姻を継続し難い重大な事由)を理由に離婚請求をすることは差し支えないと解されています。

3 悪意の遺棄

民法770条1項2号による離婚原因(通称「悪意の遺棄」)は,婚姻共同生活の存続を否定する意思のもとに,夫婦間の同居,協力,扶助の義務を履行しないことを指します。夫婦が別居している場合でも,それが正当な理由に基づくものであり「悪意」が認められない場合には,悪意の遺棄には該当しません。具体的な例をいくつか挙げてみます。

<「悪意の遺棄」と認められる事例>

(1) 夫が突然家族を捨てて家出し,1年以上経った今も各地を転々としているらしく,何の連絡もよこさない。会社も退職扱いになり,生活費も送ってこない。
(2) 妻が病身の夫を差し置いて一人出奔し,10年間何も積極的な働きかけをしてこなかった。
(3) 夫が遠隔地に単身赴任したが,現地で出来た愛人のもとに入り浸りになり,生活費は毎月送ってくるものの,単身赴任の仕事が終わっても一向に妻の許に戻ってこない。
(基本的には不貞行為になるが,「悪意の遺棄」にも該当する)
(4) 妻が夫を虐待し,家庭にいられない状況にして追い出した。
(妻が悪意の遺棄をしたことになる)

<「悪意の遺棄」とは認められない事例>

(1) 夫婦双方が合意・納得の上で別居している。
(2) 夫が海外への長期出張になったので,夫が単身赴任し別居している。
(3) 妻が病気療養のため別居している。
(4) 喧嘩により夫婦仲がかなり悪くなってしまったので,冷却期間を置くため一時的に別居することにした。
(5) 妻が行方不明になって1年以上経過したが,原因が全く不明で,事故や事件に巻き込まれた可能性もある。(「悪意」が認定できない)
(6) 夫が強盗殺人罪で有罪判決を受け,刑務所に服役している。
(夫の意思に基づかない別居なので,「悪意」の遺棄ではない。ただし,「婚姻を継続し難い重大な事由」が認められる可能性はある)

なお,夫が浪費やギャンブルを重ね生活費もろくに渡さないといった場合には,悪意の遺棄ではなく,「婚姻を継続し難い重大な事由」の1つとして認定されるのが一般的です。

4 3年以上の生死不明

配偶者が3年以上生死不明の状態にあり,かつその状態が継続している場合には,民法770条1項3号の原因(配偶者の生死が3年以上明らかでないとき)に基づく離婚請求が可能です。

生死不明になった原因や当事者の過失などは問われませんが,客観的に見て生死が分からないというのは必須の要件であり,本人からは連絡がないが知人が生きているのを見たとか,知り合いには連絡があるといったことでは,生死不明には該当しません(ただし,「悪意の遺棄」に該当する可能性はあります)。

離婚判決が確定した後に相手方の生存が明らかになっても離婚の効力に影響はありませんが,相手方が判決確定前に死亡していることが明らかになった場合には,離婚は無効であり,死亡時に婚姻が解消したことになります。

※なお,配偶者が行方不明の場合の婚姻解消方法としては,悪意の遺棄を理由とする離婚,3年以上の生死不明を理由とする離婚,失踪宣告の3つがありますが,その違いをまとめると以下のとおりです。

(1) 悪意の遺棄を理由とする離婚
相手方の「悪意」を立証する必要があるが,行方不明の期間は問題にならない(3年未満でも良い)。
(2) 3年以上の生死不明を理由とする離婚
行方不明の原因などは問題にならないが,客観的に全く行方の分からない事が必要であり,かつ3年以上行方不明であることが必要。
(3) 失踪宣告
原則として7年以上生死不明である必要がある(ただし,戦争,船舶の沈没その他の危難により行方不明になった場合は1年)。この場合は離婚ではなく相手が死亡したものとみなされるので,配偶者の遺産を相続したい場合などには有効だが,相手方が後で現れたときは婚姻が復活するので,そのときまでに再婚していると重婚の問題が生じる。

5 回復の見込みがない強度の精神病

民法770条1項4号は,「配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき」を離婚原因に挙げていますが,裁判所はこの離婚原因を認めることに慎重であり,実際には病気の配偶者について離婚後も公的保護を受けて療養できる体制を整えるとか,離婚後の療養のための金銭的手当をするなどして,「病者の今後の療養,生活等についてできるかぎりの具体的方途を講じ,ある程度において前途にその方途の見込みがついた」上でなければ,離婚請求は認められないものとされています(最判昭和33年7月25日民集12−12−1823)。

また,精神病は「強度」かつ「不治」のものであることが必要であり,最近多いうつ病や統合失調症くらいでは,例えその病気のため長年入院生活を送っているような場合でも,なかなか「不治」とは認められません。

6 その他

民法770条1項5号は,「その他婚姻を継続し難い重大な事由」がある場合にも離婚原因を認めており,上記1号から4号までのいずれの事由にも該当しない場合であっても,婚姻関係の破綻が深刻であり,婚姻の本質に応じた共同生活の回復の見込みがないと認められる場合には,離婚請求を認めるものとされています。

5号の離婚原因は,具体的な原因を法文上明記せず,離婚の可否を裁判官の総合的判断に委ねているものですが(そのため「抽象的離婚原因」とも呼ばれます),婚姻関係が破綻する原因は夫婦によって様々であり,裁判上問題になった事例も多種多様です。
ここでは,それらのうち典型的な事由のいくつかを挙げてみることにします。

(1)相手方も離婚の意思を持っている場合
相手方が離婚の反訴を提起してきたなど,相手方も離婚の意思を表明している場合には,基本的には婚姻関係の実体に立ち入ることなく,離婚自体は問題なく認められます。実際には相手方にも離婚の意思があるものの,単なる意地・反感・嫌がらせ等のために離婚を拒否していると認められるような場合も同様です。
(2)相手方が老人性痴呆症や難病に罹患している場合
一般的には離婚原因になるわけではありませんが,その症状が重度であり,もはや実質的な婚姻関係を維持することが困難である場合には,離婚請求が認められることもあります。ただし,配偶者に対し誠実に介護を行ってきたという実績があり,かつ離婚後の公的保障についても十分調べるなど,離婚後も配偶者の生活が成り立つような手当てをしなければ,離婚はまず認められません。
(3)配偶者から暴力・虐待行為を受けた場合
配偶者からの暴力や虐待が原因で婚姻関係が破綻した場合,それが離婚原因に該当することはいうまでもありません。このような場合,離婚だけでなく不法行為に基づく慰謝料その他の損害賠償を請求することもできます。
ただ,夫婦間の暴力等については双方の言い分が真っ向から食い違うことがままあるので,暴力を受けて怪我をしたときには医師に怪我の原因を正直に言って診断書を書いてもらう,あざが出来れば写真を撮っておくなどの対策が有効です。
(4)いわゆる「熟年夫婦」の離婚
60歳を過ぎたくらいの熟年夫婦について,妻の方が「夫の帰宅がいつも遅く,会話もない」とか,「夫が定年になって1日中何もしないで家にいるようになり,自分の生活がこれ以上乱されるのは耐えられない」などといって離婚を求めてくるケースがありますが,このような理由だけでは当然に離婚はできません。
ただ,その結果夫も離婚の意思を示すようになったとか,あるいは夫婦が別居して婚姻生活が完全に破綻するに至ったなどの場合には,離婚請求が認められることもあります。
(5)配偶者の宗教活動
夫(妻)が宗教団体に加入し,宗教活動にのめり込んでいるので離婚したいというケースもありますが,夫婦間といえども信仰の自由は互いに尊重されてしかるべきであり,配偶者が自分と異なる宗教活動をしているからといって,当然に離婚請求が認められるわけではありません。
ただし,配偶者の宗教活動へののめり込み方が異常であり,宗教活動のためには仕事や家庭生活も顧みないなど,過度な宗教活動が家庭崩壊の原因になっていると認められるような場合には,離婚請求が認められることもあります。
(6)セックスレス
夫婦間の性関係については,夫婦生活の中でも一番プライベートな問題であり,別に性関係がなくても夫婦双方がそれに納得していれば全く問題はないので,単に夫婦間の性関係がないからといって当然に離婚請求が認められるわけではありません。
もっとも,夫婦の一方が性関係を拒否し,他の一方がそれを不満に思っている場合には,夫婦の性生活は婚姻の基本となるべき重要事項であるとして,離婚請求が認められる場合もあります。特に,新婚当初から性関係をまったくもとうとしない場合には,離婚が認められる可能性が高いといえます。
例えば,夫は性交不能であるのに,婚姻に際し妻にそのことを告知せず,その後も性交不能が続いているとか,あるいは夫がポルノ雑誌やポルノビデオを見て自慰行為をするばかりで,妻との性交渉に全く応じないなどといった場合には,離婚請求を認めた裁判例もありますし,妻による(特に理由のない)性交拒否の場合も離婚請求は認められると考えられています。
一方,老齢や病気などのために性交渉ができない場合,配偶者に性交渉を拒否される理由が自分の暴力その他の身勝手な振る舞いに起因するものである場合などでは,当然には離婚請求は認められません。
なお,セックスレスの場合に限らず,性生活の異常が婚姻の継続に重大な支障を来す場合(異常性欲,異常性癖,同性愛,性病,婚姻当初からの懐胎不能など)にも,離婚請求が認められることはあります。
(7)犯罪
配偶者が刑事事件を起こして警察に逮捕されても,当然に離婚請求が認められるわけではありませんが,配偶者が重大事件を起こして刑務所に服役したような場合には,離婚請求は大抵認められます。
一方,嫌疑不十分などで不起訴になった場合はもちろん,罰金程度で済んだ場合には当然に離婚原因になるわけではありませんが,その犯罪があなたに対する暴行・傷害などである場合や,過去にも同種犯罪を繰り返していたなどという場合には,離婚請求が認められることもあります。
(8)性格の不一致
夫婦間の性格不一致は,裁判所に申し立てられる離婚調停事件において一番多い離婚理由であると言われています。しかし,もともと夫婦の性格が違うのは当然であり,単純に性格が違う,合わないからといって当然に離婚請求が認められるわけではありません。
性格の不一致であっても,それに起因する様々なトラブルが積み重なって婚姻が実質的破綻に至っているのであれば,離婚が認められるケースもありますが,個別性の強い問題なので,過去の裁判例はせいぜい参考程度にしかなりません。また,基本的には夫婦として共同生活を営む以上ある程度の努力は必要であり,それでも一緒に暮らせない場合には,夫(妻)のどこが嫌なのかを,できるだけ具体的に説明する必要があります。
婚姻継続に向けた努力が一向に見られず,また具体的な問題点もろくに説明しないで離婚のみを言い立てるような場合には,自らの方に破綻の責任があると判断されてしまう可能性もあります。
(9)配偶者の親族との不和
いわゆる嫁と姑の対立など,配偶者との親族との不和が婚姻破綻の主たる原因になることも少なくありませんが,単に配偶者の親と仲が悪いだけでは,離婚原因としては認められません。
しかし,例えば夫の母親との不和が原因で婚姻生活が実質的に破綻し,しかも夫自身も不和の解消のために必要な努力をしないどころか,かえって母親に荷担して妻に対しつらく当たったなどという場合には,離婚請求が認められることもあります。
(10)配偶者の借金,浪費
配偶者に多額の借金がある場合や,借金が原因で自己破産や個人再生をした場合でも,それだけで当然に離婚原因になるわけではありませんが,風俗通いその他の浪費やパチンコ,競馬その他のギャンブルのために消費者金融から多額の借金をし,生活費も使い込んでしまったり,自宅に消費者金融から督促の電話がかかってきたりして,夫婦生活が完全に破綻してしまったような場合には,離婚請求は大抵認められます。
back index next

債務整理総合案内自己破産個人再生借金相談
多重債務・債務整理のご相談なら、いちご綜合法律事務所