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個人再生徹底活用マニュアル

千川健一・坂本隆志
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第三部 離婚の手続及びこれに関連する問題03−3589−4905

第2章 調停離婚

1 手続の概要

調停離婚は,家庭裁判所の調停手続(家事調停手続)を利用して離婚を成立させる方法です。
調停は,裁判官や裁判所の調停委員を通じて当事者双方が話し合い,和解により紛争を解決させる手続きであり,当事者に離婚などを強制することはできません。

しかし,家庭裁判所は,調停委員や専門的知識を持った調査官などを通じて,家庭内の紛争を話し合いで解決させるノウハウを蓄積してきた国家機関であり,単に当事者間だけで話し合いをするよりは,こじれている離婚紛争を解決できる可能性はずっと高くなると考えられます。

また,家庭裁判所で成立した和解の内容は「調停調書(和解調書)」に記載され,調停での合意事項が守られない場合は,給料の差押その他の強制執行をすることもできますので,協議離婚よりも合意内容の履行確保という面ではかなり優れています。

2 手続上の留意点

(1)調停の申立て
家庭裁判所に離婚調停の申立て(正確には「夫婦関係調整の申立て」といいます。)をするには,所定の用紙(家庭裁判所でもらえます)に必要事項を記入し,1200円の収入印紙を貼って,夫婦の戸籍謄本1通と連絡用の郵便切手(金額,枚数等は裁判所によって異なりますので,各裁判所で確認して下さい)を添えて家庭裁判所に提出する必要があります(事案によっては,それ以外の資料等の提出を求められることもあります)。

調停の申立てをする裁判所は,原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所(またはその支部)ですが,当事者の合意により管轄裁判所を定めることもできます。

(2)証拠資料の確保
家庭裁判所で離婚調停を行う際には,離婚原因を明確にしておくことが必要です。相手方の不貞行為が原因の場合には,ときには興信所などを使って不貞の証拠を握ることも必要になりますし,相手方からの暴力などが原因の場合には,医師に診断書を書いてもらうなどして,証拠を残しておくことが必要になります。

なお,調停の席で,調停委員に対し相手方の悪行状を口頭でまくしたて,そうした方が調停で有利になると思っている人が少なからずいますが,別にそのようなことをしても有利にはなりません(調停では当事者双方がそのような態度を取っていることも珍しくないので,口頭で主張するだけでは調停委員に対しさほどのインパクトを与えることはできません)。あくまで,客観的な資料に基づき離婚原因の証明を試みることが重要です。

(3)財産関係の把握
離婚に際し財産分与や慰謝料などを請求する場合,相手方も将来の離婚を予想して財産の隠匿等を行うことが考えられますので,事前に相手方が保有している預貯金,不動産,株券などの財産関係をできるだけ把握することが望ましいです。

相手方が財産を第三者に売却してしまうなどの危険性が高い場合には,相手方名義の不動産等について,仮差押または仮処分の手続を行うことも必要になります。

(4)調停の終了
調停の終了原因には,(1)調停成立,(2)調停不成立,(3)調停に代わる審判,及び(4)調停をしない措置があります(婚姻・養子縁組の無効・取消しに関する事件では「合意に相当する審判」というものもありますが,ここでは説明を省略します)。

(1)の調停成立は,和解の成立によって調停が終了するものであり,調停で離婚の他財産分与,慰謝料,養育費の支払い,子供との接見交通等について合意すれば,その合意は法的に有効なものとなります(なお,調停で離婚をせずもとどおり夫婦円満に暮らしていくという合意をすることも可能であり,実際にそのような結果になるケースも時々あります。また,最初から離婚ではなく夫婦の円満和合を求める調停の申立てをすることも可能です)。

調停で離婚する旨の合意ができた場合,離婚の方法としては調停離婚を成立させるほかに,協議離婚をする旨の調停を成立させることもできます。離婚の届出をすると,戸籍簿に協議離婚・調停離婚・裁判離婚の区別が記載されるため,調停離婚は社会的体面が悪いなどと言って,敢えて後者の方法を採る人もたまにいるようです。

しかし,最近は調停や裁判での離婚も珍しいものではなくなっており,特にそのような体面を気にする必要はないと思いますし,後者の方法だと履行確保などの問題もありますので,基本的には前者の調停離婚の方法によるべきでしょう。

(2)の調停不成立は,話し合いによる和解成立の見込みがない場合に,調停手続を打ち切るものです。当事者が調停不成立の通知を受けた日から2週間以内に訴えを提起した場合には,調停の申立てのときに訴えの提起があったものとみなされますので,財産分与や慰謝料などで時効が問題になっているときは,調停の申立てによって時効中断の措置を取ることができます。

(3)の調停に代わる審判は,調停手続において当事者間の合意が成立する見込みがない場合であって,裁判官が相当と認めるときは,調停委員の意見を聴いた上で,裁判官の職権で離婚の審判をするというものです。審判では,離婚のほか金銭その他財産上の給付を命じることもできます。

この審判に対しては,告知を受けた日から2週間以内に異議の申立てをすることができ(異議の理由は必要ありません),当事者のいずれかから異議の申立てがあったときには,その審判の効力は失われます。実際にはほとんど利用されていません。

(4)の調停をしない措置は,当事者が調停の申立てを取り下げた場合や,申立人が途中でやる気をなくして調停期日に出頭しない場合などに,「調停をなさず」という措置を採るものです。調停において当事者間の合意が成立していても,当事者の一方がうつ病などにかかっており,真意に基づく合意かどうか疑問があるような場合には,裁判官の判断により「調停をなさず」という措置が採られることもあります。

3 婚姻費用分担請求

離婚をめぐり夫婦間で紛争になっているとき,相手方が生活費を渡してくれないことがあります。夫婦の婚姻中はお互いに扶養義務があり,収入のある相手方が生活費を渡さない場合には「婚姻費用分担請求」の調停・審判によって生活費の支払いを請求できますので,離婚調停の申立時に相手方から生活費の支払いを止められてしまっている場合には,あわせて婚姻費用分担請求の調停を申し立てることが考えられます。

ただし,離婚成立後は元配偶者に対し生活費等の請求をすることができなくなるので,現在自分の収入がない場合には,できるだけ自分で働いて現在及び将来における収入の途を開いておいた方が賢明です。

なお,婚姻費用分担請求で相手方に請求できる生活費の金額は,養育費と同様「算定表」によっておおよその相場が決まっています。
このHPでは算定表そのものは公開していませんが,算定表は夫婦双方の年収,自営業者・給与所得者の別,子供の人数及び年齢別に金額が定められていますので,掲示板に事案の概要と上記の事項を明記して質問していただければ,算定表で定められている金額をお答えします。

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