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個人再生徹底活用マニュアル

千川健一・坂本隆志
共著
個人再生徹底活用
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(2005年法改正に
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第三部 離婚の手続及びこれに関連する問題03−3589−4905

第3章 裁判離婚

1 手続の概要

裁判離婚は,家庭裁判所の人事訴訟手続によって離婚を成立させる方法です。裁判離婚は,任意の離婚に応じない当事者を強制的に離婚させることができる唯一の手続きであり,当事者間での協議や調停によっても離婚成立に至らない場合や,相手方と離婚協議をすることができない場合には,「裁判離婚」が離婚を成立させる唯一の手段になります。

ただし,離婚に納得しない当事者を強制的に離婚させるには,離婚を強制するのもやむを得ないと認められる事情,つまり法律上の「離婚原因」が認められる場合に限られます。

離婚訴訟では,離婚そのものに関する判断のほか,夫婦間に子がいる場合には必ず親権者についても判断されます。また,離婚事件に付随して,財産分与や慰謝料,養育費の支払いを請求したり,子の面接交渉に関する処分を求めたりすることも可能です(離婚自体は既に成立しており,財産分与や養育費の支払い,面接交渉等についてのみ裁判所の判断を求める場合には,訴訟ではなく家庭裁判所の審判手続きを利用することになり,慰謝料のみを請求する場合には通常の民事訴訟手続きを利用することになります)。

なお,離婚訴訟の手続中に当事者間で和解が成立し,裁判上の和解によって離婚が成立する場合もあり,この場合の離婚を「和解離婚」といいます。

※ 離婚訴訟の制度は昔と違う?

以前に離婚訴訟を経験された方には,むしろ「離婚訴訟は地裁でやった」という方が多いと思いますが,離婚事件が家庭裁判所の管轄になったのは平成16年4月の人事訴訟法施行時からのことであり,それ以前に提起された離婚訴訟は地方裁判所の管轄になっています。

また,人事訴訟法施行以前の離婚訴訟では裁判上の和解による離婚が認められておらず,離婚訴訟の途中で和解するには「協議離婚をする旨の和解」を成立させるしか方法がなかったのですが,この問題が人事訴訟法施行によって改善されたほか,離婚訴訟が家庭裁判所の管轄になったことにより,離婚事件について家庭裁判所調査官による調査を行うことも可能になったなど,いくつかの変更点があります。

2 離婚事件の審理

(1)訴えの提起
離婚訴訟を提起するには,通常の民事訴訟と同様,「訴状」を裁判所に提出する必要があります。訴状を自分で作成するには,本などでいろいろ勉強する必要もありかなり大変ですので,自身のない人は弁護士に事件を依頼した方が無難でしょう。なお,司法書士に訴状の作成のみを依頼することも可能です。

また,離婚訴訟を提起するには,原則として先に調停の申立てをする必要があり,調停を行うことなく離婚訴訟を提起すると,裁判官の職権により事件が調停に付されることがあります。

離婚訴訟の管轄は,夫または妻の住所地を管轄する家庭裁判所であり,離婚調停の場合と異なり必ずしも相手方の住所地を管轄する裁判所でなくても構いません。

訴状が裁判所に受理されると,訴状は被告に送達され,第1回口頭弁論期日が指定されます。

(2)争点と証拠の整理
第1審の離婚訴訟では,他の民事訴訟手続と同様,まず争点と証拠の整理手続きが行われます。離婚訴訟を含む民事訴訟手続きでは,裁判所は当事者間で争いのある事項についてのみ証拠調べをして事実認定を行いますので,当事者間では具体的にどの事項について争いがあるのか,その争いがある事項について各当事者がどのような証拠を提出しているのかを整理する必要があります。

そして,証人尋問・当事者尋問などの証拠調べを行うにあたり,具体的にどの事項を審理する必要があるのか,裁判所と各当事者が共通認識を持つことによって,迅速かつ効率的な審理を行うことができるようになるわけです。

※ 「夫婦生活破綻の原因」は離婚訴訟には関係ない!?

離婚訴訟において問題になる事項は,基本的に「法律上の離婚原因があるか」という1点に尽きます。逆に言えば,離婚原因である「婚姻を継続し難い重大な事由」が認められれば,仮に「その事由は相手が悪いのであって,自分の責任ではない」などと反論しても,離婚請求自体は認められてしまうことになります。

もっとも,離婚請求と一緒に慰謝料などを請求するのであれば,破綻の原因について争うことも意味のある場合はありますし,相手方が不貞行為をした「有責配偶者」であるという主張であれば,それにより離婚請求が棄却される可能性があるので意味がある主張といえますが,それ以外の場合,特に相手方が無一文で慰謝料等を取れる可能性はないので離婚だけ請求したいという場合には,破綻の原因について細かく主張立証したり争ったりするのは,実は時間と紙の無駄遣いをしているだけということになります。

某家庭裁判所裁判官の話によると,離婚訴訟では各当事者が,事案の性質上審理する必要がない「破綻の原因論」の主張・立証にこだわって,審理がいたずらに長期化するケースも結構あるようです。離婚訴訟に臨む際には,自分の主張・立証が法律論として意味があるかどうかを十分に考えたほうがよいでしょう。

(3)証拠調べ
争点と証拠の整理手続が終了すると,証人尋問,当事者尋問などの証拠調べが行われます。当事者尋問(原告・被告本人の尋問を行うこと)は大抵の事件で行われますが,証人尋問については,当事者が証人尋問を請求した証人のうち,争点と証拠の整理手続を行った結果,裁判所が話を聞く必要があると判断した人についてのみ行われることになります。

証人尋問や当事者尋問は,最近では審理の迅速化のため,1回の期日にまとめて行われることが多くなっています(集中審理)。

証人尋問や当事者尋問は一問一答形式で行われ,基本的には各当事者(またはその代理人)が質問した後,裁判官が補充的な質問を行います。尋問の前に宣誓手続があり,その際に宣誓書(良心に従って真実を述べ,何事も隠さず,また偽りを述べないことを誓います,と書かれているものです)に署名捺印する必要がありますので,証人など尋問を受ける人は印鑑を忘れないようにしてください。

なお,証人尋問・当事者尋問のほか,子供の親権などが問題となっている事案では,家庭裁判所の調査官による自宅訪問などの調査が行われることもあります。

(4)判決及び上訴
証拠調べが一段落すると,裁判官から各当事者に和解勧告がなされることが多いですが,それでも和解が成立しない場合には,裁判官が判決期日を定めて,離婚請求に対する判決が言い渡されることになります。

判決期日には当事者が出頭する必要はなく(この点,刑事裁判とは異なります),判決期日以降,裁判所から判決書が送られてきます。判決書は,弁護士を代理人にしている場合には弁護士の所に,そうでない場合には原告・被告本人の所に送られてきます。

判決書には当事者の氏名・住所・本籍等のほか,「主文」と「事実及び理由」が書かれています。主文には「原告の請求を棄却する」「○○と××を離婚する」「○○は××に対し金△△円を支払え」「○×の親権者を○○とする」などの結論が書かれ,「事実及び理由」には,主文の結論を出すに至った理由が書かれます。

判決に対し不服がある場合には,判決の送達を受けた日から2週間以内に,その判決をした裁判所に控訴状を提出して,「控訴」をすることができます。

控訴をすると,事件は高等裁判所で再度審理されますが,最近は控訴事件が多いため,大した理由のない控訴だと1回期日が開かれただけで結審し,すぐに公訴棄却の判決を言い渡されてしまうこともあります。控訴するのであれば,控訴の理由については十分法律上の検討を行う必要があり,単なる時間稼ぎが目的である場合を除き,弁護士を代理人にするのは不可欠であるといえます。

高等裁判所の判決にも不服がある場合,一定の事由があれば最高裁への上告や上告受理の申立てをすることができますが,高裁の場合よりさらに狭き門であることは言うまでもありません。

最高裁の判決があるか,あるいは下級審の判決について期間内に上訴(控訴・上告等)が行われなかった場合には,判決が確定し,離婚を命じる判決の場合にはそれによって法律上離婚の効果が生じます。確定判決や裁判上の和解・調停によって離婚が成立した場合には,その日から10日以内に,市役所等へその旨の届出(報告的届出)をする必要があります。

3 相手方が応訴しない(できない)場合

離婚訴訟を提起しても,被告が答弁書を提出せず,口頭弁論期日にも出頭しない場合があります。また,被告が行方不明で訴状を送達できない場合には,公示送達手続きによって被告に訴状を送達したものとみなして審理が進められることがあります。

このような場合には,裁判所は被告の言い分を聞くことができないので,基本的に原告の言い分のみを聞いて判決を言い渡すことになります。もっとも,多くの場合原告の本人尋問を行い,原告の言い分についてとりあえず間違いはなさそうだということを裁判官が確認してから,判決を言い渡すのが通常です。

ただし,被告となるべき人が精神病などにより判断能力をなくしており,そもそも応訴ができないという場合には,さすがに原告の言い分のみを聞いて判決を言い渡すわけには行きません。このような場合には,その被告となるべき人の成年後見人が代わりに被告となり,成年後見人が選任されていない場合には,裁判所の職権で弁護士が訴訟代理人に選任されることもあります。

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