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個人再生徹底活用マニュアル

千川健一・坂本隆志
共著
個人再生徹底活用
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(2005年法改正に
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千川健一の本
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第四部 年金分割          03−3589−4905

第2章 年金分割はどのような場合に請求できるか

年金分割を請求するには,(1)年金分割制度の施行後に離婚をすること,(2)配偶者が婚姻期間中厚生年金保険の加入者であった時期があること,(3)離婚の時から2年以内に社会保険事務所へ標準報酬の改定または決定を請求すること,(4)厚生年金の按分割合について当事者が公正証書等によって合意するか,または家庭裁判所の審判による決定があること,が必要になります。

1 年金分割制度施行後の離婚等であること

年金分割制度が施行されるのは,平成19年4月1日からであり,同日以後に離婚等をした場合に限り年金分割の請求をすることができます。なお,後述する第3号被保険者の特例については,平成20年4月1日からの施行であり,しかも同日以後の被保険者期間のみが分割の対象になります。

ここでいう「離婚等」には,法律上の離婚のほか,婚姻の取消しも含まれますが,いわゆる内縁関係の解消は原則として含まれません。ただし,婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあったとして,内縁の夫婦のうち被扶養者が国民年金の第三号被保険者の資格を取得していた場合において,内縁関係の解消によりその被扶養者が第三号被保険者の資格を喪失した場合(当該当事者が婚姻の届出をしたことにより内縁関係が解消した場合を除く。)には,離婚した場合と同様に年金分割の請求をすることができます(厚生年金保険法施行規則78条)。

2 配偶者が婚姻期間中厚生年金保険の加入者であった期間があること

要するに,婚姻期間中配偶者が会社等のサラリーマンであった期間があれば,その期間の保険料納付記録の分割を請求できるということになりますが,以下の点に注意が必要です。

(1)自営業者の配偶者は,年金分割請求はできない!
自営業者は国民年金の第1号被保険者になり,基本的には国民年金のみに加入していますが,国民年金は分割の対象になりません(国民年金は,もともと配偶者にも固有の受給権があるため)。したがって,婚姻期間中一貫して自営業者であった者の配偶者は,離婚しても年金分割請求をする余地はないことになります。

ただし,自営業が法人成りして,配偶者がその法人の役員となっている場合には,会社役員も厚生年金保険の被保険者ですので,その分は年金分割の対象となる可能性があります。
なお,比較的裕福な自営業者の場合,国民年金のほか国民年金基金や確定拠出年金に加入している可能性もありますが,国民年金基金や確定拠出年金には年金分割の制度がなく,これらの分割請求は通常の財産分与請求として行うしかありません。

(2)公務員や私立学校教職員の配偶者も対象になるが,手続きが異なる!
公務員や私立学校の教職員は,厚生年金ではなく独自の共済制度に加入していますが,国家公務員については平成16年法律第130号(国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律)により,私立学校教職員については同131号(私立学校教職員共済法等の一部を改正する法律)により,地方公務員については同132号(地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律)により,それぞれ厚生年金とほぼ同様の年金分割制度が設けられましたので(施行時期も同じです),これらの法律に基づき年金分割を請求できます。

ただし,請求先は社会保険事務所ではなく,国家公務員の場合には国家公務員共済組合連合会,私立学校教職員の場合には日本私立学校振興・共済事業団,地方公務員の場合には市町村連合会になります(いずれも離婚後に請求する場合)。

(3)事実上厚生年金に加入していない会社・従業員に注意!
法人の事業所及び法定16業種に属し常時5人以上の従業員を使用する個人の事業所は,法律上厚生年金保険の強制適用事業所であり,そこで働く年収130万円以上の従業員は基本的に厚生年金の被保険者となるのですが,最近は会社にとっても厚生年金の保険料負担が重いためか,契約社員・パートなどについて被保険者の届出をしない場合が多いほか,ひどい場合は虚偽の解散届を提出するなどして事業所ごと厚生年金の適用対象から外れようとしているケースも見られます。

このように,事実上厚生年金の加入手続きが取られておらず,保険料も納付されていない場合には,当然ながら保険料納付記録の分割を請求する余地もないことになります。

(4)婚姻前,または離婚後の保険料納付記録については分割請求できない!
年金分割の請求ができるのは,あくまで婚姻期間中の保険料納付記録のみであり,配偶者が婚姻前の長期間にわたり厚生年金等に加入していても,あるいは配偶者が離婚後長期間にわたり会社のサラリーマン等として多額の収入を得る見込みであっても,婚姻前または離婚後の保険料納付記録について分割を請求することはできません。

ここでいう婚姻とは,役所に婚姻届を提出することをいいますので,婚姻前の内縁期間が長期にわたっていた場合でも,その間の保険料納付記録を分割することはできません。ただし,婚姻前の内縁期間について,婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあったとして,被扶養者である夫婦の一方が国民保険の第3号被保険者の資格を得ていた場合には,その資格を得ていた期間の保険料納付記録も分割の対象となります。

3 離婚等の日から2年以内に標準報酬等の改定請求をすること

年金分割は,おそらく財産分与の一形態と考えられているためか,請求に離婚等をした日から2年間という期間制限が設けられています。当事者の合意により請求をする場合には,離婚のときから2年以内に公正証書で按分割合を定め,社会保険事務所で請求の手続きをしなければなりませんから,うかうかしていられません。

ただし,当事者間で協議が調わず,家庭裁判所の調停や審判で年金分割請求をする場合には,離婚時から2年以内に家庭裁判所へ調停または審判の申立てを行えば,離婚時から2年を経過した後であっても,調停の成立または審判の確定の日の翌日から起算して1ヶ月以内であれば,標準報酬等の改定請求を行うことができます(厚生年金保険法施行規則78条の3第2項)。

4 公正証書等による合意または家庭裁判所の審判

年金分割の請求をするには,按分割合を定めた公正証書を作成するか,または家庭裁判所の調停・審判で按分割合を決定する必要があります。

なお,公正証書の作成や家庭裁判所の審判を経ても,実際に保険料納付記録の分割を行うには,社会保険事務所に標準報酬額改定の請求を行う必要があり,離婚したからといって自動的に年金分割が行われるわけではありませんので,注意が必要です。

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