第四部 年金分割   03−3589−4905

第4章 年金分割のための情報提供制度
年金分割によって自分の受給できる年金がどのくらいになるかは,計算が非常に複雑であり,しかも過去の保険料納付記録がどうなっているかも知る必要があるため,自力での算定は非常に困難ですが,これについては社会保険庁が平成18年10月から,年金分割のための情報提供サービスを実施しています。
年金分割のための情報提供の請求は,当事者の二人が共同で請求することもできますが,どちらか一人だけで請求することもできます。情報提供の請求をするには,「年金分割のための情報提供請求書」に必要事項を記入するほか,次に掲げる書類が必要となります。
(1) 請求者本人の国民年金手帳、年金手帳又は基礎年金番号通知書
(2) 婚姻期間等を明らかにすることができる市町村長の証明書または戸籍の謄本・抄本
(3) 事実婚関係にある期間に係る情報提供を請求する場合は,世帯全員の住民票の写しなど,事実婚関係を明らかにすることができる書類
情報請求手続きの詳細は,最寄りの社会保険事務所に問い合わせて下さい。
なお,当事者の二人が共同で情報提供の請求をした場合には,当事者それぞれに対し「年金分割のための情報通知書」が交付されますが,当事者の一方のみが情報請求をした場合には,離婚等をしているか否かで取り扱いが異なります。
離婚等をしていない場合には,情報通知書は請求者のみに交付されますが,すでに離婚等をしている場合には,請求者のほか元配偶者にも情報通知書が交付されますので,注意する必要があります。
年金分割のための情報通知書によって通知されるのは,対象期間の標準報酬総額,定めることのできる按分割合の範囲,これらの算定の基礎となる期間といった事項であり,年金分割によってもらえる年金の見込額ではありません。ただし,請求者が50歳以上の場合には,分割をした場合の老齢厚生年金の見込額を,障害厚生年金の支給を受けている場合には,分割をした場合の障害厚生年金の見込額を,合わせて知らせてもらうことができます。
なお,離婚前の別居期間中に妻が働き始め,厚生年金の被保険者になったなどという場合,離婚直前に按分割合の上限が変動することがあり得ますが,このような場合における手続上の便宜のため,(1)対象期間の末日前1年以内に情報提供を受けた場合,(2)情報提供を受けた後1年以内に年金分割のための調停の申立てなどをした場合,または(3)年金分割のための調停の申立てなどをした後で情報提供を受けた場合には,当該提供を受けた情報をもとに按分割合を決定できるという規定があります。
この制度をうまく使えば,離婚前の別居期間中に働き始めることで,分割を受けられる按分割合が減るといった事態を回避することができるかもしれません。これは少しでも多く年金分割を受けるためのテクニックに過ぎませんが,この制度を最大限に活用するには,働き始める前に自分で情報提供の請求をし,それを証拠資料として離婚及び年金分割のための調停を申し立てるのがよいということになるでしょう。
第5章 もう1つの年金分割制度
−第3号被保険者期間に関する特例−
以上の制度のほか,2008年(平成20年)4月からは第3号被保険者期間に関する特例制度が設けられます。
この特例制度は,厚生年金の被保険者とその配偶者である第3号被保険者は,実質的に夫婦共同で厚生年金の保険料を支払っているという考え方を基礎にしており,婚姻中第3号被保険者であった期間については,離婚の際に配偶者の同意や家庭裁判所の審判手続きを経るまでもなく,当然に2分の1の分割を認めるというものです。
ただし,この制度は平成20年4月以降の第3号被保険者期間についてのみ適用があるので,同年3月以前の第3号被保険者期間に関する年金分割を行うには,原則どおり配偶者の同意または家庭裁判所の審判で按分割合を決めなければなりません。
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