第一部 債務整理とは   03−3589−4905
7 債務整理手続で給料などの差押は止められるか?
債務の弁済を延滞していると,最悪の場合債権者から訴訟を起こされ,自分の給料その他の財産が差し押さえられてしまうことがあります。
給料の差押等の「強制執行」手続の詳細については,第6部の2「給料差押その他の強制執行のしくみ」の説明に委ねますが,弁護士に事件を依頼して給料の差押等を止められるかどうかは,債務整理手続の種類によって異なります。
(1) 任意整理の場合
任意整理は,裁判所を通さず弁護士と債権者が直接交渉する方法であるため,それだけで給料の差押等を阻止できるわけではありません。
ただし,任意整理が通常可能な事案については,短期間のうちに債権者と和解が成立するパターンがほとんどですので,債権者が敢えて強制執行をしようとするケース自体がほとんどなく,あまり強制執行の心配をする必要はないと考えられます。
(2) 特定調停の場合
特定調停については,その根拠法である「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律」第7条の規定により,一定の要件のもとで,特定調停手続の妨げとなる強制執行手続の停止を申し立てることができ,これによって強制執行手続を停止させることができます。
(3) 個人再生の場合
個人再生手続においては,再生手続開始の申立をした後であれば,裁判所に訴訟手続や強制執行手続等の中止命令を申し立てることができ,また再生手続の開始決定後は,新たな強制執行等の申立をすることはできないとされていますので,給料の差押等については,既に債務名義がとられている等の事情がないかぎりほとんど阻止することができます(債務名義がとられている場合でも、当該債務のみを個人再生申立まで支払いを継続する、あるいは直ぐに申立をするという方法で多くの場合給料等の差押えを回避できます)。
(4) 自己破産の場合
自己破産手続においては,平成17年から法律の改正があり,破産手続開始の申立てをした後であれば,裁判所に訴訟手続や強制執行手続等の中止命令を申し立てることができ,破産手続の開始決定後は,管財事件でも同時廃止事件でも個別の強制執行等は禁止されることになりましたので,個人再生手続と同様に,給料の差押等については既に債務名義が取られているなどの事情がない限りほとんど阻止することができ,従来のように給料の差押等を回避するために破産管財人を選任してもらう必要はなくなりました。
ただし,個人再生の場合と異なり,自己破産の手続きでは債務名義を取られている債務のみを申立てまで支払い続けることはできませんので,債務名義を取られている場合には申立てを急ぐ必要があります。
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