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![]() 千川健一・坂本隆志
千川健一の本
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その他の法律問題
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《最終通告》 【入金期限】 平成17年○月○日(木)午後○時 上記金額を期限までにご入金いただけない場合は、貴殿の登録情報および個人情報を含めて、私共から各地域の債権代行関連業者および最寄りの関連事務所へ債権譲渡し、最終的に債権徴収担当者をご自宅や勤務先などに訪問させていただくほか、少額訴訟などの法的手段を採らせていただくことがあります。 ○○債権回収会社 |
(2)「債権回収会社」とは
このような架空請求に債権回収会社(「サービサー」ともいいます)の名前がよく使われるのは,現行法では債権回収会社が唯一債権回収業務を行える団体であるほか,債権回収会社という制度自体が近年になって出来たものでありその実態について周知性が乏しく,被害者の不安を煽りやすいといった事情もあるのでしょうが,本物の債権回収会社がこのような請求をしてくることは,実際にはありません。
なぜなら,債権回収会社の業務については,『債権管理回収業に関する特別措置法』という法律で,以下のような規制が設けられているため,法務大臣の認可を受けた本物の債権回収会社であれば,上記のような請求をしてくることはあり得ないからです。
(1) 債権回収会社が取り扱うことのできるのは,銀行その他の金融機関,貸金業者や信販会社の金銭債権,企業が行う資産流動化関係の金銭債権,金融商品関係の金銭債権,倒産会社の金銭債権などに限定されており,普通に営業している有料サイトの運営業者から債権回収会社が未納料金の債権譲渡を受けることは,通常考えられません。
(2) 法令及び法務省事務ガイドラインの規定により,以下のような行為は債権回収会社の禁止行為とされており,違反すると行政処分や刑事罰の対象にもなるため,本物の債権回収会社が以下のような行為をしてくることは通常考えられません。
(以下,債権回収会社の禁止行為のうち,本稿の趣旨に関係するものを抜粋)。
A.人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により,その者を困惑させること。
<禁止される威迫行為の例>
○ 暴力的な態度をとること。
○ 大声を上げたり,乱暴な言葉を使ったりすること。
○ 多人数で債務者の自宅等に押し掛け,又は債務者等を債権回収会社に呼びだし,大勢で取り囲んで面談すること。
<禁止される私生活や業務の平穏を害する言動の例>
○ 正当な理由なく,午後9時から午前8時まで,その他不適当な時間帯に,電話で連絡し若しくは電報・ファクシミリ・電子メール等を送達し,又は訪問すること。
○ 反復又は継続して,電話で連絡し若しくは電報・ファクシミリ・電子メール等を送達し,又は訪問すること。
○ 債務者等につきまとうこと。
○ 張り紙,落書き,その他いかなる手段であるかを問わず,債務者等の借入に関する事実その他プライバシーに関する事項等をあからさまにすること。
○ 債務者等の意思に反してその勤務先を訪問すること。
○ 近隣者に対して,自らの来訪目的を明らかにした上,債務者等に電話をするように伝言を依頼すること。
B.暴力団員等をその業務に従事させ,又はその業務の補助者として使用すること。
C.債務者や保証人から執行証書(債務弁済に関する公正証書)作成のため委任状を取得する場合に,当該債権の債権金額その他法務省令で定める事項を記載していない委任状を取得すること。
D.債権の管理又は回収の業務を行うに当たり,偽りその他不正の手段を用いること。
E.利息制限法による制限額を超える利息や遅延損害金の支払いを要求すること(よって,著しく高額の利息・遅延損害金や督促費用などを請求してくる場合は,まず間違いなく不当請求です)。
F.貸金業者からの借入等により弁済資金を調達することをみだりに要求すること。
G.債務者等の親族(債務者等と内縁関係にある者その他債務者等と同居し,かつ,生計を同じくする者を含む。)又は債務者等が雇用する者その他の債務者等と密接な関係を有する者に対し,債務者等に代わって債務を弁済することをみだりに要求すること。
H.債務者等が債務整理を弁護士等に委託し,又は裁判所における債務整理の手続き(自己破産,個人再生や特定調停など)をとった旨の通知があったときに,正当な理由がないのに,債務者等に対し,訪問し又は電話をかけて,当該債務を弁済することを要求すること。
I.委託者のために収受した弁済金を自己の財産と明確に区分せずに保管すること(なお,「弁済金」には,現金のみならず預金又は貯金口座に対する振込入金も含まれるため,債権回収の委託を受けたと称しながら,振込入金の口座を請求者自身の口座や代表者の口座とすることは,それ自体債権回収会社であれば違法行為になります)。
J.債権回収会社の業務上の用途以外の用途に使用するために,債務者等の信用情報を収集し,又は収集した信用情報を債権回収会社の業務上の用途以外の用途に使用すること。
K.債権の管理・回収を他の債権回収会社,弁護士又は弁護士法人以外の者に委託すること。
以上のような正しい法的知識を前提にすれば,前記のような架空請求の文書がいかにいい加減なものかはすぐに分かると思われます。
(3)法務省関係法人の詐称について
架空請求をしてくる犯人は,請求をもっともらしく見せかけるため,法務省の認可法人であるなどと名乗ってくることがありますが,そのほとんどはでたらめです。
以下,具体例を若干挙げてみます。
○「法務省認可法人」
→このように呼べるのは,「公共嘱託登記司法書士協会」及び「公共嘱託登記土地家屋調査士協会」だけです。なお,法務省の所管法人は法務省のホームページに紹介されている社団法人と財団法人だけです。
○「法務省認可特殊法人」
→このような団体は存在しません。なお,「特殊法人」というのは単なる俗語であり,本当に官公庁の設立許可を得た団体であれば「社団法人」「財団法人」などと正式名称を名乗るはずであり,「特殊法人」と名乗っている場合はそれだけで偽物であると分かります。
○「法務省許可法人」
→このような団体は存在しません。なお,債権回収会社は「法務大臣」の許可を受けた株式会社であり,法務大臣でなく「法務省」の許可を受けた団体であるとか,会社でなく単に法人,協会などと名乗っている場合には明らかに偽物です。
○「法務局認可法人」
→このような団体は存在しません。なお,法務局の所管事項は国籍,戸籍,登記,供託,公証関係の事務や,人権問題や国の利害に関係する訴訟などの事項に限定されており,「法務局」が債権回収業務を行う者を監督したり,これらを行う者に許可や認可などを与えたりすることはありません。「法務局認可特殊法人」や「法務局認定法人」なども同じ理由で明らかに偽物です。
○「法務省認定通達書」
→このような文書は存在しませんし,類似するものもありません。
(4)身に覚えのない請求が来た場合の心得
○ 利用していない有料サイトなどの料金については,一切支払う必要はありません。また,不安である,関わり合いたくないなどの理由で安易に支払ってしまうと,犯人たちの間でカモであるとみなされ,更に被害を受ける可能性もありますので,絶対に支払ってはいけません。
○ 手紙や電子メールに対し,請求先の債権回収会社(と名乗る者)等に電話や電子メール,手紙等で連絡・返信を行うと,それによりあなたの住所,電話番号等の個人情報を相手に知らせてしまうことになりますので,絶対に怪しい請求に対し連絡や返信をしてはいけません。
○ 業者から電話があったら,「利用していないので支払いません」とはっきり伝え,業者がそれ以上文句を言ってくるときは,話を聞かず黙って電話を切りましょう。悪質業者から電話がかかってきても,あなたに話を聞く義務はありません。
○ 業者から送られてきた請求の書類等は,後述する支払督促や訴訟などの関係で必要になる可能性もありますので,念のため保管しておきましょう。
○ 電話や手紙,電子メールなどで相手が「法務省」「裁判所」「弁護士」などという言葉を使ってきても,最近はこれらの名をかたる悪質な詐欺事犯が増えていますので,これらの名を聞いただけですぐ信じてしまうのではなく,請求について身に覚えがない場合には,お金を振り込むより先に関連団体に電話で問い合わせをしてみることが必要です。
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