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インターネットを利用した架空請求・悪質請求について
6 支払督促や訴訟を悪用する手口とその対策
最近,身に覚えのない出会い系サイトの利用料などの支払いを求める架空請求について,督促手続や少額訴訟手続を仮装し又は悪用するケースが多発しており,そのような相談・情報が法務省・国民生活センター等に寄せられているほか,テレビや新聞などでも報道されています。
単なる架空請求であれば,身に覚えがない以上請求に応じる必要はありませんが,裁判所の手続を悪用する形で請求してきた場合には,無視していると相手方の請求を認めたものとみなされて,予期せぬ財産や給料の差し押さえなどを受けたりする危険があるので,対応には注意を要します。
したがって,裁判所からの書類が届いた場合には,無視するのではなく,以下のように対処する必要があります。
(1)書類が本当に裁判所から届いたものであるかどうかを確認する
ただし,悪質な業者が裁判所からの通知であるかのように装って,偽りの連絡先を記載している場合もあり,その場合には,その連絡先にこちらから連絡をすることによって,こちらの電話番号等の個人情報を知られてしまうおそれがありますので,書類に記載された連絡先にすぐ連絡をしてはいけません。
よって,まず,発送元・連絡先が本当の裁判所であるかどうかを,電話帳や消費生活センターなどで確認しましょう。なお,裁判所の管轄地域・連絡先については,最高裁判所のホームページでも確認することができます。
その上で,本当の裁判所の連絡先に連絡して,自分に対して裁判所の手続が進められているのか,裁判所から通知が出されたのかを確認する必要があります。
(2)本当の裁判所からの通知であると確認できた場合
発送元・連絡先が本当の裁判所であると判明した場合には,放置しておくとあなたに対する債務名義が確定してしまい,それに基づき強制執行手続きがなされ,あなたの財産や給料が差し押さえられてしまう危険がありますので,それなりの対処をする必要があります。
裁判所から書類が送られてくる手続きであって,請求を目的とするものには,大きく分けて「支払督促」と「訴訟」の2つがあります。
○ 本当の「支払督促」だった場合
支払督促は,書類が送られてきてから2週間以内に「督促異議」の申立てをしないと,仮執行宣言が付けられ強制執行手続きが行われてしまう可能性がありますので,できるだけ早く「督促異議」の申立てをする必要があります。
督促異議の申立ては,裁判所から送られてきた用紙に必要事項を記入し,裁判所に返送するだけで簡単にできますので,本当の支払督促だと分かったときには直ちに実行しましょう。
督促異議の申立てをすると,裁判所での事件は通常の訴訟手続きに移行しますが,全く根拠のない架空請求の場合,多くは督促異議の申立てをすると向こうから訴えを取り下げてきますので,その場合にはそれ以上の対応をする必要はありません。
もし,督促異議の申立てをしても相手が訴えを取り下げてこない場合には,本格的に対応する必要がありますので,なるべく早く弁護士に相談してください。
○ 本当の「訴訟」だった場合
訴訟では,相手方の請求に対し争うことを明らかにしない場合には,相手方の請求を認めたものとみなされるため,指定された期日に裁判所に出頭せず,かつ事前に請求を争う旨の書面を裁判所に提出しない場合には,敗訴して判決を取られてしまう危険があります(これは,簡易裁判所の「少額訴訟」の場合も同じです)。
よって,身に覚えのない請求の場合には,
A.指定された期日に裁判所に出頭する必要があります。
指定された期日に出頭できない事情がある場合には,その旨を電話などで裁判所に連絡すれば,ほとんどの場合次回期日を指定してもらえますので,少なくとも第1回の期日で判決を取られるという事態は回避することが出来ます。)
B.その期日に先立って,自分の言い分を記載した「答弁書」という書面を提出しておく必要があります。
「答弁書」は,裁判所から送られてきた用紙に必要事項を記入するだけでも作成できます。全く身に覚えのない架空請求の場合には,「自分は原告の主張するようなサイトを利用したことはない」などと,簡単でよいですからあなたの言い分をはっきり書きましょう。
なお,簡易裁判所の「少額訴訟」の場合,原則として1回の期日で結審してしまう手続きですので,架空請求に少額訴訟手続きが使われた場合には,答弁書に「自分は少額訴訟による審理及び判決を希望しないので,訴訟を通常の手続きに移行させることを求める。」と書いておく必要があります。
全く根拠のない架空請求の場合,答弁書を提出して争う姿勢を見せれば,多くは向こうから訴えを取り下げてきますので,それ以上の対応をする必要はなく,呼出を受けた第1回の期日にも出頭しないで済むのが大半ですが,答弁書を提出しても相手方が訴えを取り下げてこない場合には,本格的に対応する必要がありますので,弁護士に相談して下さい。
もし,請求に対しては本格的に争うつもりであるが,弁護士への相談が間に合わずに第1回期日を迎えてしまった場合には,裁判所でその旨を裁判官に説明し,現在受任してもらう弁護士を探しているので次回期日を指定して下さいと言えば,少なくとも1回は次回期日を指定してもらえるはずです。
(3)本当の裁判所からの通知ではないと判明した場合
こちらから連絡する必要は全くなく,放置しても構いませんが,不安に思われる場合には,警察や消費生活センター等に相談されることをお勧めします。
番外編 インターネットオークションに関するトラブル
最近は,インターネットオークションで商品の売買をする人が増えていますが,一方で「代金を振り込んだのに商品が届かない」「商品を送ったのに連絡がつかない」といったトラブルが急増しています。
中には,実際には商品などないのにインターネット上で嘘の情報を流し,架空口座に代金を入金させ,その後はネット上から姿を消して連絡がつかなくなるという,明らかに詐欺と考えられるようなケースも存在しますが,そのようなケースでは犯人の手掛かりを掴むのは容易なことではなく,また一般的に詐欺の立証は困難であり,詐欺であるかどうか断定できないようなケースや被害者が少ないようなケースでは,警察もなかなか動いてくれません。
そもそもインターネットオークションは,その多くが互いに面識もない個人同士の取引であり,特定商取引法など事業者に対する法規制がそもそも及ばない上に,相手が信頼できる人物であるという保証はどこにもありません。相手の身分も分からないまま高額の代金を振り込んでしまうと,仮に相手方が詐欺を働いていたとしても,ほとんどの場合泣き寝入りに終わるしかなくなってしまいます。
インターネットでの商品売買の際には,できる限り相手の身分を確認し,代金を振り込むのは実際に商品を受け取るときやその後か,少なくとも相手の身分確認が済んだ後にすべきでしょう。
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