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個人再生徹底活用マニュアル

千川健一・坂本隆志
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先物取引被害事件とその解決法

2 先物取引はなぜ危険か

このように説明すると,先物取引は特に「怪しい取引」ではないように感じますが,一般の人が参加するのは非常に危険な取引です。以下,その理由を説明します。

(1)取引には非常に高度な専門的知識が必要

先ほどの例から考えても分かるように,Aさんからお米に関する権利を買い取るとき,凶作などのリスクを考慮してどのくらいの値段で買い取るのが適当かを判断するには,米の取引市場の実態等に関する,非常に高度な専門的知識が必要になります。

これは米だけでなく,原油など他の商品の取引についても同様であり,有価証券,金融や為替などの取引については説明するまでもないでしょう。

(2)巨額の損失を被る危険性が高い

次に,Aさんの田んぼから取れる米1年分といっても,米の値段は天候その他様々な事情により乱高下する可能性があり,価格の最低保障などは一切ありませんから,大事な老後資金が一度に失われてしまう等,致命的な大損をする可能性も十分にあるということです。

(3)取引上の制約と証拠金取引の危険性

さらに,実際に取り引きされている大量の商品は,一般投資家が現実に買い取るわけには行きませんから,例えばAさんのお米に関する権利を一般のサラリーマンであるCさんが買い取っていた場合,実際のお米の収穫期までには,例え大損をしてしまうような相場でも売らざるを得ません。

特に,実際にわが国で行われている先物取引は,例えばAさんのお米に関する権利なら購入時に1000万円全額を出す必要はなく,代金のうち50万円ないし100万円程度の「証拠金」を入金すれば取引をすることができるという,いわゆる「証拠金取引」が主流ですが,このような取引の場合,保管場所などの問題が生じない株式などの先物取引であっても,実際に物の受け渡しをするには証拠金の何十倍もの代金を用意しなければなりませんから,物の受け渡しの時期(業界用語で「限月」(げんげつ)などと呼ばれます)には,やはり大損でも権利を売却しなければなりません。

また,取引の損失が拡大すれば,入金している証拠金の金額が足りなくなり,高額の追加証拠金(業界用語で「追証」(おいしょう)などと呼ばれます)を入金しなければなりませんが,取引を始めるときには証拠金取引のこのような危険性を十分認識していない人が多いため,多額の追加証拠金の入金を求められてはじめて危険性に気付くという人も少なくありません。

(4)詐欺の危険性

先物取引は,一般の人には難解な専門用語がたくさん出てくる高度な専門的取引であり,そういった専門用語に弱い人は,先物取引の難しい用語を並べ立てるだけで「難しいけどなんか儲かりそう」などと勘違いしてしまうことがあります。

そのため,先物取引は取引自体の危険性以前に,そもそも外交員が口で説明しているような取引の実体すらない,詐欺的取引の温床になっている可能性も非常に高いのです。

先物取引のうち,国内の商品先物取引などについては法規制もありますが,海外の商品先物オプション取引など法規制の対象外になっている類型の取引もあり,このような取引については単なる詐欺でないという保証はどこにもありません。

賢明な方であれば,「先物取引は非常に危険な取引であり,素人が手を出すようなものではない」ということは,ここまで読んでいただければよく分かると思いますが,それでも「商品取引所などに加入しているまっとうな業者であれば,儲かる可能性もあるのでは?」と考える人もいるかもしれません。

しかし,現実にわが国で行われている先物取引は,たとえ「まっとうな業者」が行っているものでも「確実に」大損する取引です。その理由は次項で説明します。

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