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先物取引被害事件とその解決法
4 先物取引の被害は法によって救済可能
このように,顧客にとっては明らかに一方的な損をするしかない取引であっても,商品取引所の会員である業者の場合,基本契約の際にはきちんと契約書を交わしてマニュアルなども交付し,個別取引についてもほとんど事前に電話などで承諾を取っており,売買報告書は定期的に送られてきており書いてある取引内容や数字などに嘘はない,といったケースがほとんどです。
さらに顧客は,取引の要所要所で承諾書,念書,確認書,同意書など様々な書類に署名捺印させられており,取引終了時に一旦トラブルになっても,その後顧客と業者が直接交渉して,顧客が数十万円程度の解決金の支払いを受けることで和解してしまっており,和解書にはちゃんと清算条項が入っているなどというケースもあります。
ここまで書類等の手続きがしっかり行われていると,たとえ先物取引で大損をしてしまっても自己責任だろうと諦めてしまう人が多いのですが,法律では必ずしもそのように考えられているわけではなく,このように経済的合理性のない客殺しのような投機的取引を,絶対儲かるなどと執拗に勧誘して行わせる行為は,多くの場合民法上の不法行為であると認定されます。
不法行為と認定された場合,業者に対しては先物取引で被った損失を損害賠償として請求できるほか,その1割分程度の弁護士費用の請求も認めている裁判例が多く,先物取引の結果被害者に重大な精神的苦痛(家庭崩壊,別居,離婚,失職,不眠症,ノイローゼ,自殺など)が生じている場合には,別途慰謝料の請求が認められることもあります。
また,海外先物取引の業者や,国内取引でも商品取引所の会員でない私設業者については,詐欺罪などの刑事告発が可能な場合もあります。
ただし,国内公設市場の取引については,一応日本の法律で公認された業者の取引であるということが裁判官の頭にあるためか,被害者にもその年齢や社会的地位に照らして十分な判断能力が期待できるのに,契約書面もろくに読まずに外務員の勧誘文句を盲信したような場合には,損害額の何割かが「過失相殺」により減額されてしまうこともあります。
また訴訟を起こすには相当の費用や期間,裁判所への出廷の手間などもかかり,大抵の事件では業者の方も自分にある程度の非があることは自覚していますので,大半の先物取引事件は訴訟にまではならず,和解によって解決しています。
和解金の相場は,国内公設市場の業者だと,取引により被った損害額の4割ないし6割程度で決着しているケースが多いと思われますが,それ以外の業者だと訴訟でも過失相殺がなされる可能性はほとんどないため,8割程度ないしそれ以上の金額になるケースも多いようです(ただし,この割合はあくまでも目安であり,このような割合による結果が保障されているわけではありません。また,弁護士によっても考え方に違いがありますし,地域差もあると言われています)。
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