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個人再生徹底活用マニュアル

千川健一・坂本隆志
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先物取引被害事件とその解決法

6 先物取引業者への内容証明郵便の一例

当事務所では,このような先物取引事件の相談や事件の受任も随時受け付けておりますが,ここでは参考までに,当事務所で過去に受任した事件のうち,海外先物取引の被害事件について,受任時に業者へ発送した内容証明郵便をご紹介します。

なお,この事例では,取引業者が当方主張損害金に対する80%の和解金を支払うことで決着しています。

海外先物取引業者と国内先物取引業者を比較すると、一概には言えませんが、和解の結果については海外先物の業者の方が良いように思われます。これは、海外業者にはより問題点が大きいため、業者としてはこれを隠蔽したいという意識が働くためではないかと思われす。

通告書

前略失礼します。

小職は、□□□氏(以下「□□氏」といいます。)より委嘱を受けて、貴社に対して左記のとおり通告します。

平成九年七月末頃、貴社セールス担当者の○○氏より「□□大学出身の方に電話しています。」との電話が、□□氏勤務先に入りました。

□□氏は、「□□さんにとって利益になる話しがあります。」と言われましたが、その内容については具体的に話しをされませんでした。

□□氏は、○○氏に対して、「自分のことをどのようにして知ったのか。」と尋ねたところ、「大学のOBから紹介を受けている。」と言われたので、□□氏も多少安心して後日○○氏と会う約束をしました。

その数日後、□□氏は、○○氏と会社のラウンジにて勤務時間中に会いました。その時初めて○○氏が海外先物取引のセールスマンであることを明かされ、○○氏は「自分はコーヒーの先物を扱っている。エルニーニョ現象などの気候の変化によって、コーヒーなどの農作物の先物価格は上下する。その価格の変動を利用して、利益を得るのが先物取引です。

当社は、海外先物に関して豊富な経験とデータを有しておりますので、多数のお客様に確実な利益を上げている実績がありますから。」と言われ、さらには「□□さんに損はさせません、数ヶ月で倍近く儲かります。」との断定的な利益の約束もされました。

以上のように、○○氏は先物取引の勧誘を□□氏に対してされましたが、□□氏はその際に「自分は今のところ、取引するつもりはない。」と明確に拒絶されました。

同月二五日、○○氏より□□氏勤務先に再度勧誘の電話があり、「コーヒーの先物が非常に安く購入できる。今が、チャンスです。是非、ご検討下さい。」と、既に取引拒絶の意思を表明している□□氏に対して執拗な勧誘をされてきました。

□□氏は、「昨日会っての今日の話しでは信用できない。」と、やはり断りましたが、○○氏は電話先で泣き始め「□□さんに、そんなこと言わずにお願いしますよ。私を男にして下さい。」と懇願され、□□氏になかなか電話を切らせようとはしませんでした。

□□氏も、○○氏に泣かれてしまい、勤務中でもありこれ以上長電話をできない状況であったことから、いわば根負けするようなかたちで、「三枚(買い六○万円)ならば。」と言って、承諾してしまいました。

○○氏は、「本当にありがとうございます。必ずこのご恩は□□さんにお返しします。私が、命をかけてでも□□さんを儲けさせます。」と□□氏に言われました。

その直後、○○氏から電話があり、「今、ご注文のコーヒー先物を買いました。つきましては、本日手付金お支払い頂きたいので、五万円を用意しておいて下さい。」との連絡が、□□氏勤務先にあり、その日の夕方に、○○氏は上司の××氏を伴って□□氏勤務先を訪れられ、□□氏に売買委託契約を締結させ、さらに貴社は五万円の手付金を□□氏から受領しました。平成_年_月_日に、証拠金の残金五五万円を□□氏は貴社に銀行振込により送金しています。

同年八月中旬頃、貴社△△課長から□□氏勤務先に電話が入り、「コーヒーの値が下落している。既に、三○万円の損が出ている。」との連絡がありました。
□□氏は、「それならば決済して、三○万円を返して下さい。」と言いました。ところが、△△氏は「お客さんに損はさせられません。リスクを避けるために、両建てにしましょう。コーヒーの売りを六枚買われるのが一番いい方法です。
このまま、損をさせては当社の名誉にかかわります。是非、そうして下さい。」と執拗に言われました。

□□氏も、これで三○万円の損が確定してしまうことには心理的な抵抗があったことから、△△氏の言に従い両建てすることに決めましたが、一応「売りは五枚にしておいて下さい。」と△△氏に言いました。

同年_月_日に、□□氏は前記売りの証拠金として、○○氏に対して一○○万円を直接手渡しました。

同年九月上旬に、○○氏から□□氏勤務先に電話が入り、「エルニーニョ現象がそれほどでもなかったので、コーヒー価格は下落傾向にあります。そうすると、買いで損が出てしまうので、買いは処分して、売りを増やしましょう。」との話しがありました。□□氏は、「今のままで結構です。」といったんは断りました。

しかし、○○氏は「□□さん、私たちは先物のプロなんですよ。今は、そんなに利益を上げていませんが、長い目で見れば私の指示に従ってもらえば、必ず利益が出ます。私を信用して下さい。」と説得を□□氏に対してされ、□□氏は「そこまで言うのであれば。」という気持ちで○○氏の指示に従い、売りを二枚追加しました。

同年_月_日に、□□氏は右証拠金として四○万円を貴社銀行口座に振込入金しました。
同年_月_日に、○○氏から□□氏勤務先に電話があり、「さらにコーヒー価格の下落は続きそうです。売りを是非購入しましょう。」との連絡を受けて、その指示に従い□□氏は同年_月下旬に四○万円を貴社銀行口座に振込入金しました。

この後、平成_年_月上旬まで、○○氏からの売買指示を受けて、□□氏は六回貴社に証拠金として合計二○○万円を貴社銀行口座に振込入金しています。

平成_年_月_日、△△課長から、□□氏勤務先に電話が入り、「□□さんにはここまであまり儲けていただけませんでした。
そこで、値動きの激しい原油に銘柄を変えて一挙に挽回しましょう。」と勧められました。同日、夕方に○○氏と待ち合わせ、□□氏は同氏の話を聞きました。

同氏は、原油の値動きに関するグラフや記事を見せて「原油の方が、直ぐに回収できる。」と□□氏を強く説得しました。

□□氏は、それまでのコーヒー先物取引で投資した金額合計四四○万円中二二○万円の損失となっていました。

□□氏は、「これ以上、取引を継続するとかえって深みにはまってしまうのではないか。」という気持ちと、「既に、大損害を被ってるのでこれを何とかして挽回したい。」という気持ちの葛藤がありました。

ところが、○○氏から、「原油ならば、絶対に損害を取り戻します。お客さんには損はさせられません。」と自信のある口調で言われたことから、□□氏も「信じてみるしかない。」という気持ちになり、原油への銘柄変更に応じました。

○○氏は、「オペックで原油生産量の増加の合意がなされそうです。そうすると、当然原油価格は下落しますので、今残っている証拠金で売りを一一枚入れましょう。」と言われ、□□氏はこの指示に従いました。

同年_月末、○○氏から□□氏勤務先に電話が入り、「原油が底値にきています。今持っている売りを処分して、買いを一三枚いれましょう。証拠金が一五万円不足するので入金して下さい。」と言われ、□□氏はその指示に従い、同月二六日に一五万円貴社銀行口座に入金しました。

同年_月上旬、○○氏から、□□氏勤務先に電話が入り、「原油価格が下落している。買いを処分して、両建てでリスクヘッジをしましょう。買いを八枚処分して、売りを五枚入れるのがいいでしょう。証拠金の不足分を四○万円入れて下さい。」と言われ、□□氏はこれに従い、同月一二日に四○万円を振込入金しました。

同年五月下旬に、○○氏から、□□氏勤務先に電話が入り、「原油価格が下落しているので、追証を入れなければ、取引を維持できない。」と言われました。

□□氏は、これ以上の資金的余裕のなかったことから、「それはできません。」と断りました。

その後は、相場に従い、各先物取引について処分がなされ、○○氏の上司と名乗る方から□□氏勤務先に電話が入り、「保証金が足りないので、保証金を追加して下さい。そうでなければ、決済しなければなりません。」と言われました。

□□氏は、前述のように資金的余裕もなかったことや、これまでの貴社営業員の対応に不信感を募らせていたことなどから、「これ以上は取引を継続できないので、決済して下さい。」と申し入れました。

ところが、右上司は「今ここで止めたらすべでが無駄になりますよ。保証金を是非入れて下さい。」と執拗に言われましたが、□□氏は「保証金はこれ以上入れることはできません。」とこれを拒絶しました。

これに対して右上司は「それでは様子を見ましょう。」と言われました。

平成_年_月下旬に、○○氏から、□□氏勤務先に電話が入り、「□□さんの現在の損益状況は証拠金でも補えないマイナスになっています。決済するには、一七万円弱のお金が必要です。」と言われましたが、□□氏はこのときには既に相当額の投資金を貴社に支払っていたことから、金銭的余裕が全くなく五万円を清算金として数日後に直接手渡しにて○○氏に支払っています。

その際、○○氏から求められて、貴社から□□氏が発行を受けた預り証等については、○○氏がすべて回収されました。

以上より、貴社の営業行為については、左記の問題点を指摘することができます。

一、 電話勧誘の際に、勧誘者が自らを先物取引業者である旨を明確に伝えてないこと。

一、 □□氏が、先物取引について明確に拒絶の意思を表明しているのに「泣き落とし」の手法を用いられ、□□氏の困惑を利用して強引に取引を開始させていること。

一、 前述のように、何回にも渡り、営業担当者が、断定的利益の約束、ないしは楽観的な予測を述べて□□氏を積極的な取引へと誘因していること。

一、 無意味な両建てなど、いわゆる客殺しの営業手法が用いられていること。

一、 取引全般にわたって、□□氏の不安感や射幸心を煽って(「今取引を終了すれば損害が確定しますよ。」、「この取引をすれば必ず損失を回復できます。」等)、危険な取引に導いていること。

以上のとおり、□□氏は貴社の不当な勧誘行為により、金五○○万円の損害を被っています。

貴社の営業行為は、関係取引諸法に違反するばかりか、むしろ詐欺的なものと評価しうるほどであり、当職は不法行為も構成すると考えています。

また、貴社もご承知のとおり、当職は別件にても貴社に対して苦情申立をする案件の依頼を受けていますが、本件はその別件と酷似しており、貴社の悪質な営業手法がより一層明白化したものと理解しており、余りにも似通った二つの実例を訴訟において明らかにすることにより、貴社の営業手法についてより立証が容易になったものと考えています。

以上の点を貴社に告知するとともに、□□氏の損害額全額を本書到達後一週間以内に後記口座に振込入金下さいますようご請求申し上げます。

仮に、貴社より誠意ある回答が得られない場合には、貴社の不当な営業行為について当局に告知すること、適切な法的手段に及ぶ所存であることもお伝えします。

尚、前記のとおり本件については当職が委嘱を受けましたので、今後は当職宛にご連絡下さい。

(振込先口座)
__銀行__支店
普通口座 ______
名義人 弁護士 千川健一

平成_年_月_日

(通知人)
__県__市__−__−__
(取引時住所)
__県__市__−__−__
□□ □□

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(被通知人)
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