その他の法律問題   03−3589−4905
消費者契約法Q&A (回答末尾 →Q&Aindex へ)
Q-1 消費者契約法が2001年4月から施行されると聞きました。どういう趣旨の法律ですか。
Aー1 事業者に比べて情報量が圧倒的に劣る消費者の利益を保護する目的で制定された法律です(法1条)。
 
Q−2 具体的には、消費者保護のためにどのような規定が定められているのですか。
Aー2 第一に、消費者は事業者の一定の行為によって消費者が誤認し、または困惑した場合について契約の申込みまたはその承諾の意思表示の取消しができます。
 
Q−3 消費者契約法の適用があるのは、どのような契約ですか。
Aー3 消費者と事業者との間において締結される契約です(法2条3項)。
 
Q−4 消費者とは、消費者契約法ではどのように定義されていますか。
Aー4 法2条1項は、「この法律において『消費者』とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。」
と定義しています。  
Q−5 事業者とはどのように定義されていますか。
Aー5 「この法律において『事業者』とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。」と定義されています。
 
Q−6 者契約法により、契約の取消しができる場合にはどのようなものがありますか。
Aー6 以下の四通りです。
1)事業者が消費者に重要事項について事実と異なることを告げた場合(法4条1項1号)、A:事業者が将来における変動が不確実な事項について断定的判断を提供をした場合(法4条1項2号)
2)事業者が消費者にある重要事項等について消費者の利益となる旨を告げ、かつ当該重要事項について消費者の不利益となる事実を故意に告げなかった場合(法4条2項)、
3)消費者が事業者に対して住居等から退去するよう要求したにもかかわらず、それらの場所から退去しない場合(法4条3項1号)、
4)事業者が消費者契約の締結を勧誘している場所から消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から消費者を退去させない場合。
 
Q−7 法4条1項1号及び同条2項の重要事項とはどのようなものですか。
Aー7 第一に、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容をいいます。第二に、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件をいいます。
 
Q−8 法4条1項1号、2項については、民法の錯誤や詐欺取消しを主張する場合とはどのように異なりますか。
Aー8 詐欺取消しの主張の場合には、事業者が故意に消費者を騙す意図があったことを消費者側が立証する必要があるので、実際にこれを証明することが難しいという側面がありました。
また、錯誤無効の主張は要素の錯誤という法律行為の重要部分の錯誤ある場合のみ無効になるという限定的な場合に限られ、また表意者である消費者が錯誤について重大な過失があれば錯誤無効の主張は認められませんでした。
それゆえ、民法のこうした規定よりも消費者契約法の取消主張は、消費者の主張・立証責任を軽減したという意味で消費者保護という面で一歩進んだことは事実です(但し、不十分であるという批判も多くあります)。
 
Q−9 法4条1項1号が適用されるのは、どのような場面でしょうか。
Aー9 例えば、羽毛布団のセールスを例に取ると、実際には10年程しか使用できないのに「この布団は耐久性が高いので、20年以上使用できますよ。」というセールスを受けたような場合が考えられます。
 
Q−10 法4条1項2号が適用されるのは、どのような場面でしょうか。
Aー10 先物取引などで、「私に任せて頂ければ、必ず利益を出して見せます。」とか、「原油の価格が騰貴していますので、必ず利益が出ますから買いをいれましょう。」というようなセールストークが用いられたような場合が先ずあげられます。
また、絵画などの販売で「この画家の絵は今大変人気があって入手しにくくなっています。数年すれば必ず購入価格の倍以上で売れますよ。」というよなセールストークが用いられた場合も考えられます。
 
Q−11 法4条2項が適用されるのは、どのような場面でしょうか。
Aー11 銀行員が外貨預金を勧誘する際、高利回りである旨を強調して、為替が円高になったとには元本割れ等の損失を蒙る危険性について消費者に説明をしなかった場合があげられます。
 
Q−12 法4条3項1号が適用されるのは、どのような場面でしょうか。
Aー12 布団のセールスなどで、自宅に上がり込んでなかなか帰らないという被害事例は多数出ています。法律の文言通り「帰って欲しい。」と消費者が申し出たのに、なお居座ってセールスを続けて、最終的に商品を買わせてしまうような事例です。
なお、こうした事案については訪問販売法においても、禁止行為として「…契約を締結させるため、人を威迫して困惑させてはならない。」と規定し、省令6条1号において「…契約の締結について迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘」をすることも禁止行為として掲げています。
しかし、こうした訪問販売法違反の法律行為について取消しというような効果は明確に定められいませんでした。また、長時間にわたる執拗な勧誘により締結された契約について、公序良俗に反するとして無効とした判例がありますが消費者救済という観点からは十分ではありませんでした。そうした意味で、こうした問題販売行為があった場合に、明確に消費者に取消権を認めていることは、消費者救済において重要な機能を果たすと思われます。
特に、布団のセールスなどではクーリングオフが定められていても、事業者が布団を下取りと称して強引に持っていき、事実上クーリングオフのしにくい状況にしているという例が私の受任した案件でも多数ありました。そのような事例で、取消権の行使が認められれば被害者救済には大きな機能を果たしたと思います。
 
Q−13 法4条3項2号が適用されるのは、どのような場面でしょうか。
Aー13 道を歩いている人に声をかけて営業所に連れて行くキャッチセールスや、仕事先などへ電話でしつこく勧誘して営業所に訪問させ、商品を購入させるまでは退去を許さないというセールス方法の場合に適用されます(アポイントメントセールス)。こうした事例については、絵画、会員権販売などの被害事例が多いようです。
キャッチセールスの被害事例として多いのが、貴金属、エステティック、絵画などです。
アポイントメントセールスの被害事例として多いのが、複合サービス会員権、貴金属、各種教材などです。
 
Q−14 取消権はいつまでに行使する必要がありますか。
Aー14 法文を見ますと、「第4条1項から第3項までの規定による取消権は、追認をすることができる時から6ヶ月間行わないときは、時効によって消滅する。当該消費者契約の締結の時から5年を経過したときも、同様とする。」(法7条)と規定されています。
追認というのは、取消し得べき法律行為を確定的に有効にする意思表示をいい、それは当該消費者契約が「取消し得べき法律行為」であることを消費者が知っていることが前提となります。
従って、法4条1項、2項については誤認に気がついたときから、3項については事業者が退去したとき、消費者が退去できたときから6ヶ月ということになります。
これは、民法上の取消権の時効期間と比較して短いのですが(民法は5年、20年)、取消権の範囲を民法より拡大したこととのバランスを図るためと理解されています。
 
Q−15 事業者の責任を免除する条項を無効とする規定とはどのようなものでしょうか。
Aー15 法8条1項には以下のように、事業者の債務不履行責任、不法行為責任、瑕疵担保責任の全部又は一部を免除する条項を無効と定めています。
まとめて説明すると、債務不履行、不法行為責任共に全部免除条項は無効、事業者側に故意・重過失がある場合には一部免除であっても無効、瑕疵担保責任を全部免除する条項は無効ということです。
1号 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項
2号 事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項
3号 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の全部の免除する条項
4号 消費者契約における事業の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する民法の規定による責任の一部を免除する条項
5号 消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるとき(当該消費者契約が請負契約であるときは、当該消費者契約の仕事の目的物に隠れた瑕疵があるとき。次項において同じ。)に、当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する条項
 
Q−16 事業者側の瑕疵担保責任を免除するという条項が無効とされない場合として、消費者契約法はどのような場合を定めていますか。
Aー16 事業者が瑕疵のない物をもって代える責任を負っている場合や瑕疵を修補する責任を負っている場合には、これによって消費者保護は図れるので瑕疵担保責任としての損害賠償請求などは免除しても消費者側が一方的に不利にならないと考えて、免除条項を無効にらならいと規定しました。
また、他の事業者が事業者と同様の瑕疵修補責任を責任を負う場合についても同様に規定しました。法8条2項が以下のように定めています。
1号 当該消費者契約において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに、当該事業者が瑕疵のない物をもってこれに代える責任又は当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合
2号 当該消費者と当該事業者の委託を受けた他の事業者との間の契約又は当該事業者と他の事業者との間の当該消費者のためにする契約で、当該消費者契約の締結に先立って又はこれと同時に締結されたものにおいて、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに、当該他の事業者が、当該瑕疵により当該消費者に生じた損害を賠償する責任の全部若しくは一部を負い、瑕疵のない物をもってこれに代える責任を負い、又は当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合
 
Q−17 消費者の違約金の定めを無効とする規定とはどのようなものをいうのでしょうか。
Aー17 違約金の定めについては、消費者側が多額の賠償責任を負わないよう制限しました。
 
Q−18 消費者契約法により、消費者側が不利益となるものについて契約が無効とされる規定はありますか。
Aー18 法10条は、「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する条項で、民法1条2項に規定する基本原則(信義誠実の原則)に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」と規定しています。
 
Q−19 どのような基準を用いて、法10条は無効とされるか否かはを判断するのですか。
Aー19 一般条項ですから、今後の判例の集積を待つことになると言わなければなりません。
しかし、以下の四点が判断要素として考えられます(国民生活審議会消費者政策部会報告「消費者契約法(仮称)の制定に向けて」)
a 契約条項が、事業者が合理的な理由なくして一方的に法律関係を変動することを可能とするものであるか。
b 契約条項が、消費者にとって過酷な要求となるものか。
c 契約条項が、消費者の法的地位を不安定な状態におくものであるか。
d 契約条項が、消費者の法律上の権利を合理的な理由なくして制限するものであるか否か。
 
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