相続税・贈与税の基礎知識   03−3589−4905
相続税・贈与税における財産の評価方法
<0> はじめに
相続税及び贈与税の課税対象となる財産の評価額は,当該財産の取得時における時価が原則となっています(相続税法22条)が,相続財産や贈与財産は,現金や預貯金のように,必ずしも時価がはっきりしている財産ばかりであるとは限りません。
そこで,相続税法では一部の財産につき,財産の評価方法の特則を定めているほか,国税庁の『財産評価基本通達』等により,財産の評価方法の詳細が定められています。
財産の評価方法には,極めて複雑な計算等を要するものが多く,このページでそのすべてを網羅することはできませんので,ここではその概要だけをご説明します。
『財産評価基本通達』等は,国税庁のホームページ(http://www.nta.go.jp)に掲載されていますので,詳細について知りたい方はそちらの方をご覧ください。
<1> 土地等の評価
(1) 総則
土地等の価額は,原則として,地目別に,路線価方式,倍率方式及び宅地比準方式のいずれかの評価方式にしたがって評価することとされています。
宅地の価額は,1画地ごとに,農地の価額は1枚ごとに評価することになっていますが,この「1画地」や「1枚」は実際の利用単位を表すものであり,不動産登記簿上の区画とは必ずしも一致しないことに注意する必要があります(雑種地も同様です)。
なお,山林や原野等については,1筆(不動産登記簿の区画ごとに)評価することになっています。
土地の地積については,課税時期における実際の面積によります。不動産登記簿に記載されている面積は,特に昭和40年代以前に計測されたものについては,実際の面積と一致していない場合も多いので注意が必要です。
なお,土地等について負担付贈与をする場合には,路線価方式,倍率方式及び宅地比準方式の適用はなく,その土地等の時価から負担の評価額を差し引いた額が贈与税(負担付遺贈の場合は相続税)の課税価格になります。
(2) 路線価方式
路線価方式は,宅地やその上の借地権を評価する場合の原則的な評価方法であり,市街地的形態を形成する地域にある宅地については,路線価方式によって評価されます。
税務署や,国税庁のホームページ等では「路線価図」を閲覧することができますが,各路線(道路)ごとに土地1uあたりの評価額が記載されており,原則としては当該宅地の面する路線について記載されている評価額に,面積を乗じて得た額が路線価(相続税評価額)ということになります。
ただし,土地の形状によっては,その土地が利用に適さず経済的価値が低いこともあるので,その土地の奥行の長さに応じて,上記の原則的評価額に「奥行価格補正率」を乗じる場合があり,また,その土地が複数の路線に面している場合には,「側方路線影響加算」「二方路線影響加算」「三方(四方)路線影響加算」といった評価額の加算が行われる場合があります。
奥行価格補正率や側方路線等の加算率は,その土地の地区区分(ビル街地区,高度商業地区,繁華街地区,普通商業・併用住宅地区,普通住宅地区,中小工業地区,大工業地区の7種類があります)によっても異なります。
その他,不整形地,無道路地,袋地等,がけ地等及び私道についても,一定の範囲内で評価減がなされることがあります。
借地権については,その土地の路線価に,路線価図に記載されている借地権割合(場所によって異なり,Aの90%からGの30%までの7段階があります)を乗じて得た額とされ,定期借地権等については,原則として課税時期における借地権者の経済的利益及びその存続期間を基にして評定した価額によることになっていますが,課税上弊害がない限り,自用地の価額に一定の数値を乗じて計算した価額によることとされています。
借地権等が設定されている底地については,自用地の評価額から,借地権等の価額を差し引いた金額で評価されます。
(3) 倍率方式
倍率方式は,路線価の定められていない宅地や,農地,山林,原野,牧場,沼地及び雑種地に適用される評価方法で,その土地の固定資産税評価額に,国税局長が定める一定の倍率を乗じて得た額が相続税評価額となります(もっとも,実際の倍率は1.0と定められている場合が多いです)。
(4) 宅地比準方式
宅地比準方式は,市街地にある農地や山林,雑種地等について用いられることがある評価方法で,宅地として評価した場合の1uあたりの評価額から一定の割合を控除した額に,その土地の面積を乗じて得た額が相続税評価額となります。
(5) 小規模宅地等の計算の特例
相続または遺贈によって取得した財産のうち,被相続人の自宅の敷地や事業用店舗等の敷地に関しては,一定の面積を限度としてその評価額を減額する特例措置が採られています。
減額される地積と減額割合は,原則として200uまで50%ですが,「特定居住用宅地等」に該当する場合は240uまで80%,「特定事業用宅地等」「特定同族会社事業用宅地等」「国営事業用宅地等」に該当する場合は,400uまで80%を減額することができます。
ただし,この特例を利用してその評価額を減額した土地を物納する場合には,その土地の評価額は当該特例によって減額された金額になってしまうので,注意が必要です。
(6) 地上権及び永小作権の評価
地上権(建物の所有を目的とする借地権及び地下・空間を目的とする地上権を除く。)及び永小作権の価額は,その残存期間に応じ,その土地の自用地価額に以下の割合を乗して算出します(相続税法23条)。
| 残存期間 |
割 合 |
| 10年以下 |
5% |
| 10年超15年以下 |
10% |
| 15年超20年以下 |
20% |
| 20年超25年以下 |
30% |
| 25年超30年以下 |
40% |
| 30年超35年以下 |
50% |
| 35年超40年以下 |
60% |
| 40年超45年以下 |
70% |
| 45年超50年以下 |
80% |
| 50年以上 |
90% |
| 期間の定めなし |
40% |
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