相続税・贈与税の基礎知識   03−3589−4905
相続税の基礎知識
<5> 各相続人に対し適用される税額加算,税額軽減及び税額控除
1) 相続税額の2割加算
相続または遺贈により財産を取得した者が,被相続人の配偶者,1親等の血族,または被相続人の代襲相続人(第2部の3−3を参照)のいずれにも該当しない場合には,その者に対する相続税額は,通常の額にその20%を加算した金額となります(相続税法18条1項。なお,平成15年4月1日の改正前と異なり,相続税額の2割加算を行った結果,その者の課税価格に対する実質税率が50%を超える場合でも,その実質税率に基づき課税されますのでご注意ください)。
なお,被相続人の養子(法律上の養子に限る)は,原則として1親等の血族に含まれますが,被相続人の代襲相続人でない直系卑属(孫,曾孫など)を被相続人の養子にした場合は,例外としてその養子も2割加算の対象となります(相続税法18条2項)。
(2) 贈与税額控除
相続または遺贈により財産を取得した者が,その被相続人からその相続開始前3年以内に贈与により財産を取得し,または相続時精算課税制度を利用した贈与により財産を取得している場合であって,その財産について贈与税が課されているときは,その課された贈与税額がその者の算出相続税額から控除されます(相続税法19条,21条の15第3項)。
なお,相続時精算課税制度を利用した贈与について贈与税が課されている場合において,その課された贈与税額がその者の算出相続税額を超えている場合は,その超過額は申告により還付を受けることができます。この場合においては,相続税の確定申告の期限日とその申告をした日とのいずれか遅い日の翌日から,その還付のための支払い決定等があった日までの期間について,その還付すべき税額に年7.3%または前年11月末の公定歩合+4%(これを『特例基準割合』といいます)のうちいずれか低い割合による還付加算金を加算した額が支払われます(相続税法33条の2,国税通則法58条,租税特別措置法95条)。
公定歩合の推移については,日本銀行のホームページで検索できますが,公定歩合は近年0.1%のままです。
(3) 配偶者の相続税額の軽減
被相続人の配偶者が,当該被相続人から相続または遺贈により財産を取得した場合には,以下の額が配偶者の算出相続税額から控除されます(相続税法19条の2)。
控除額=相続税の総額×AかBの少ないほうの額÷課税価格の合計額
A 課税価格の合計のうち配偶者の法定相続分相当額
(最低1億6000万円)
B 配偶者の実際取得額
ただし,上記Bの「配偶者の実際取得額」には,共同相続人または包括受遺者によって分割されていない財産の価額は,原則として含まれないものとされています。
(4) 未成年者控除
相続または遺贈により財産を取得した者(制限納税義務者を除く)が,被相続人の法定相続人(相続放棄した者も含む)に該当し,かつ20歳未満である場合においては,その未成年者の相続開始時における年齢に応じて,以下の額がその者の算出相続税額から控除されます(相続税法19条の3)。
控除額=(20−相続開始時の年齢)×6万円
※1年未満の端数は1年とされます。
(5) 障害者控除
相続または遺贈により財産を取得した者(日本国内に住所を有していない無制限納税義務者及び制限納税義務者を除く)が,障害者である場合には,以下の額がその者の算出相続税額から控除されます(相続税法19条の4)。
控除額=(70−相続開始時の年齢)×6万円(特別障害者の場合は12万円)
※1年未満の端数は1年とされます。
なお,ここでいう「障害者」とは,精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者,失明者その他の精神または身体に障害がある者で,次に掲げる者のいずれかに該当する者をいいます(相続税法19条の4第2項,相続税法施行令4条の4,所得税法施行令10条)。
1)精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者または児童相談所,知的障害者更正相談所,精神保健福祉センター若しくは精神保健指定医の判定により知的障害者とされた者
2)精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者
3)身体障害者手帳の交付を受けた者であって,その手帳に身体上の障害がある者として記載されている者
4)戦傷病者手帳の交付を受けている者
5)原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項の規定による厚生労働大臣の認定(原子爆弾の傷害作用に起因して負傷し,または疾病にかかり,現に医療を要する状態にある旨の認定)を受けている者
6)精神または身体に障害のある年齢65歳以上の者,または常に就床を要し,複雑な介護を要する者であって,その障害の程度が上記1)から3)に掲げる者に準ずる者として市町村長等の認定を受けている者
また,ここでいる「特別障害者」とは,上記の「障害者」のうち,精神または身体に重度の障害がある者で,次に掲げる者のいずれかに該当する者をいいます。
1)精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者または児童相談所,知的障害者更正相談所,精神保健福祉センター若しくは精神保健指定医の判定により重度の知的障害者とされた者
2)精神障害者福祉手帳の交付を受けている者であって,その手帳に障害等級が1級である者として記載されている者
3)身体障害者手帳の交付を受けている者であって,その手帳に身体上の障害の程度が1級または2級である者として記載されている者
4)戦傷病者手帳の交付を受けている者であって,その手帳に精神上または身体上の障害の程度が恩給法別表第1号表の2の特別項症から第3項症までである者として記載されている者
5)原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項の規定による厚生労働大臣の認定(原子爆弾の傷害作用に起因して負傷し,または疾病にかかり,現に医療を要する状態にある旨の認定)を受けている者
6)精神または身体に障害のある年齢65歳以上の者,または常に就床を要し,複雑な介護を要する者であって,その障害の程度が上記1)から3)に掲げる者に準ずる者として市町村長等の認定を受けている者
(6) 相次相続控除
10年以内に2回以上の相続があった場合,以下の金額がその者の算出相続税額から控除されます。
控除額=A×C/B−A(最大1)×D/C×(10-F/10)
A=第2次相続に係る被相続人が,第1次相続により取得した財産に課せられた相続税額
B=第2次相続に係る被相続人が,第1次相続により取得した財産の価額(相続税の課税価格計算の基礎に算入されたものに限る)
C=第2次相続により相続人及び受遺者の全員が取得した財産の価額(相続税の課税価格に算入される部分に限る)
D=第2次相続によりその相続人が相続により取得した財産の価額
E=第1次相続開始の時から第2次相続開始の時までの期間に相当する年数(1年未満の端数は切り捨て)
(7) 外国税額控除
相続または遺贈により日本国外にある財産を取得した場合において,当該財産についてその地の法令により相続税に相当する税が課せられたときは,その外国で課された税額をその者の算出相続税額から控除します(相続税法20条の2)。
ただし,この場合の控除額には以下の上限があります。
控除額の上限=算出相続税額×国外財産の価額(債務控除後)÷その者の相続税の課税価格(債務控除後)
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